2020.03.28

過去作のデザインについて。



みなさん、ご無沙汰しております。冷凍イナバPです。うららかな春の日、いかがお過ごしでしょうか。

ダウンロード頒布を開始します

詳細な日程は未定ではございますが、近日中にDL頒布を開始する予定です。現在関係各所と調整中ですので、詳報は決まり次第あらためて告知いたします。
DL版の頒布解禁に至った理由も含めて、一度「Traumerei Fabrikのデザインについて」をきちんとご説明しようかなと思い、この記事を書いています。とても長いですので、ぜひ日々の隙間で少しずつ読み進めていただければなと思います。

Traumerei Fabrikの作品として、「物質がない」こと

秋晴とも相当話し合ったのですが、DL頒布に関しては当初は完全に行わないつもりでした。弊サークルのコンセプト作品は実際に手にとって、開封して、触っていただくことも含めてすべてが作品だという考えのもとで制作してきたためです。
ただ、作品のいくつかは完売してしまい、ありがたいことに「再頒布を行う予定はないのか」というお問い合わせも少なくない数頂戴しております。特に昨年の夏コミで頒布した『ティルナノーグと永遠の歌』は、ぼくたちももっといろんな方に見てもらいたいと思っていました。とはいえコストの面で再版をかけることは容易ではなく、ダウンロードでの再頒布を決心した次第です。

この記事は、物質として触れられない方のために、少しでもご想像の助けとなるように書いています。もちろんすでにお手にとって頂いた方の、ある種の答え合わせとしてもお楽しみいただけるかなと思います。

そもそもTraumerei Fabrikはどういうサークルなのか

主にデザイン面での話ではございますが、過去に弊サークルについて述べた記事もございますので、未読の方で興味のあるかたはぜひ、ご一読くださいね。

Othello



Traumerei Fabrikは過去にも一度活動を休止していて、再開後第一作目がこのOthelloでした。
いまでこそコンセプトを大事にしていますが、Othelloの頃はまだ「こんなふうにしたらエモいし、商業では見れないような、同人だからできることやろうぜ」みたいな軽いノリでした。デザインにおいても「同人だからできる」を出発点にいろいろ考えたように記憶しています。

パッケージはそのものずばり、オセロ



見たまんまですが、オセロの駒がモチーフになっています。白い面と黒い面がある、というだけです。
特設サイトにも書いてあるとおりテーマ的には「正義と悪」ですが、Othelloの本質は「正義と正義」だと個人的には思っています。そして、その「正義と正義」ですらも、ある意味では閉じられた世界の中のことでしかないとも思いました。
真空パック装にしたのは、そんな閉ざされた狭い世界を表現したかったからです。本人たちにとっては大真面目な争いが一般流通可能な形にパッケージされる、というメタ視点での皮肉も込めています。

「光」によって変化する盤面





Othelloは盤面が特に気に入っていて、制作日数の都合でシルク印刷ではなくUV印刷になったのですが、これがいいマチエール感を出してくれました。こんもり乗った白インキのザラッとしたテクスチャがOthelloの雰囲気に合っていて、好きです。
ディスクが反射するスペクトルを生かしたねらいは、純粋に聖白蓮の髪のグラデーションのイミテーションであることと、見る角度によって色が変わる、つまりテーマである「正義と悪」を意味していることがあります。

幻想メトロ



ライナーノーツでも述べていますが、幻想メトロは随分昔からふわっとした概要だけ存在していて、大風呂敷が広がりまくっていた作品です。いざ作るとなって着地点を定めるのに苦労しましたが、鉄道会社の開業プロモーションということで落ち着きました。
本当はデザイン面でもっともっとやりたいことがたくさんあったのでデザイナーとしては少なからず心残りもあるのですが、作品としてはまとまりのいいものになったのではないかなと思っています。

開業プロモとして





幻想メトロのロゴはCIのつもりで制作しています。シンボルマークとロゴタイプで構成されていて、実は特色やRGB、CMYK、グレースケール版といったようなカラーバリエーションや、アイソレーションの規定など、CIとして運用するためのレギュレーションも制作していました(かなり大雑把に作ってあり恥ずかしいのでお見せすることはできませんが笑)。



また、開業のプロモーションをする上で、「幻想メトロはどういう層に訴求していくんだろう」「移動手段としての鉄道を認知させるためにどういう広告をすればいいんだろう」ということも考えました。こちらも実際は使わなかったのですが、おおまかに3パターンの訴求対象に向けたキャッチコピーなども用意していました。このキャッチコピーは、イラストのディレクションにおいて役に立ってくれました。キービジュアルとともに、各キャッチコピーを意識したイラストの力がデザインに大きく寄与してくれています。
幻想メトロの特設サイトでは、各訴求対象ごとの利用シーンをイメージしたセリフも掲載しました。

列車に乗る一連の動作を想起させるためのパッケージ





パッケージは列車に乗るシーンを思い描きながら落とし込んでいます。まず最初、横に長いデジトレイのCDケースは、駅改札外の連貼りの広告を表現。そして次に手に取るライナーノーツは回数券をイメージしていて、最後、CDは、駅に入ってくる列車のヘッドマーク。曲を聞くタイミングでまさに列車に乗るような、そんな一連のストーリーを意識しています。
全体的なトーンとしては、「単純明快」が意識としてあったのであまり難しく捉えずわかりやすいデザインを意識しています。一方で、幻想郷に鉄道ができたとしても絶対にモダンなものにはならないだろうという確信があったので、やや古臭く感じるようなレトロさもねらっています。

ティルナノーグと永遠の歌



この作品はとにかく「物質としての価値」を高めたかったです。Traumerei Fabrikというサークルの方向性を示すためにも、内容的な強度に負けないくらい強い「ガワ」が必要だという直感があったのです。音楽業界全体がDLやサブスクリプション優勢となっていく潮流で、同人もDL頒布へと追従していく中、モノとしてほしいと思ってもらえるかの勝負だと思っていました。

あなたの東風谷早苗は?がテーマ



Traumerei Fabrikの描く東風谷早苗をある程度提示した上で、特定のキャラクターを改めて掘り下げてみませんか?という問いかけがしたかった今作では、パッケージにおいてもあくまで「起承」しか反映させないように気を使いました。
上記のディレクション資料のとおり、物語のコアとなる部分のみを抽出しています。ケースは「海」、それは理想郷(ティルナノーグ)であり、幻想郷であります。ケースを「海」と見立てることによって、音楽を聴くときに早苗は必ず海(=幻想郷)の外にいるという状況を生み出したかったのです。

夏、里帰り、という爽やかなモチーフに違和感をもたせる



東風谷早苗というキャラクターを掘り下げてもらうために、全体を通して違和感を抱くようなつくりにしたいというねらいもありました。そのためのキービジュアル、そしてティザーサイトでした。
ライナーノーツでも触れていますが、キービジュアルの早苗さんの表情はかなりのリテイクを重ねていただきました。おかげさまで、時間のない中で圧倒的に説得力のある顔になったと思います。その表情をティザーではあえて隠し、グリッジさせるという不穏さを演出しました。

ブックレットにグレーの紙を選んだこと



本文用紙に「ディープマット ミストグレー」という紙を採用しています。これはコントラストを低くすることで視覚的に没入感が高まることを期待しています。また、物語のキーワードとして荒廃、再生、理想と現実、などがあったので、その表現も担っています。
その他、特設サイトには詳しい印刷仕様も掲載しているので、興味のあるかたはぜひチェックしてみてください。

おわりに



まとめの前に、じつは、ティルナノーグと刻の歌のリメイク版をしれっと頒布しています。この作品……お手にとっていただけた方はわかると思いますが、デザイン頑張っています。この記事で初めて世の中にビジュアルを出したのですが、かずまさんにイラストを描き下ろしていただいています(出てなくてすみません)。
刻の歌リメイク版に関しては、まあこのくらいの露出度なのが作品として一番エモいかなあと思いつつ、音楽もめちゃくちゃ良くなっているので、いろんな方に手にとっていただきたい気持ちもあります。トリミングされていない全体画像はぜひ本物を入手してみて……といいたいところですが、いまは公式通販もお休みしているので、気長に待っていてください。

さて……改めて、ダウンロード頒布をすることについて、やはりTraumerei Fabrikとして葛藤がないわけではありません。ここまでご説明してきたとおりモノとしてもこだわって作っているので、叶うことならばちゃんとモノとしてお届けしたいなという気持ちもあるのです。ただ、サークルメンバーとして秋晴の音楽がこのまま埋もれていってしまうのはあまりにも惜しく、こうしてダウンロード頒布を決意した次第です。この記事を通して、少しでもぼくたちの思いが伝わるといいなと願っています。

P.S.

ぼくたちTraumerei Fabrikは休止中ではありますが、あいかわらず四方山話はダラダラと続けています。これまでのアルバムもこうした雑談から妄想が広がってできたものばかりだったので、この温度感で話しているうちにまたなにかおもしろいことを思いついたら作りますね。
とはいえ、以前活動休止した時は再開まで4年ほどかかっています。そのあたりの詳しい話は、とろめラジオで語っているので、興味がある方はぜひ聞いてみてください。

OthelloからCOURTRITUAL #4、そして『不思議の在り処』まで駆け抜けた3年間でしたが、振り返ってみた感想としては、ぼくらにしてはややハイペースだったかなというのが正直なところです。すごく楽しかったけどちょっと急ぎすぎた感もあって、でも創作意欲ってそういうもんだよなって思います。ぎゅっと詰め込んで頑張ったおかげでいろんな人にTraumerei Fabrikを知ってもらう機会も増えたという手応えもあります。
ティルナノーグと永遠の歌で、Traumerei Fabrikが二次創作としてやりたかったことが比較的高い水準で達成できました。それと同時にコンセプトもネタ切れになってしまったので、やりたいことができたらまたやります。また4年くらいかかるのか、はたまた来年あたりにしれっと復活しているのかはぼくらもわかりませんが、その時がきたらまた暖かく迎え入れていただければなと思います。

こんなに長くなってしまった文章を最後まで読んでくださってありがとうございました。世の中はいろいろと物々しい雰囲気になっていますが、どうぞ健やかに、またお会いできることを祈っております。それではみなさま、ごきげんよう。

2019.11.05

活動休止のお知らせ

いつも応援してくださっているみなさまへ

突然ではございますが、Traumerei Fabrikの活動を一時休止させていただきたくご報告申し上げます。サークルでのイベント参加は先日の東方紅楼夢15が、サークル参加作としては、第9回科学世紀のカフェテラスにて頒布される『秘封倶楽部民間伝承合同企画 不思議の在り処』が最後の作品となります。サークルメンバーはイベント会場にはおりませんが、ぜひお手にとっていただければ幸いです。

結成から10年、空白期間もありましたが、とても楽しく作品を制作することができました。ひとえにみなさまからの感想や応援のお声があったお陰です。ほんとうにありがとうございました。

もちろん色々と実力の及ばなかった点もたくさんありますが、これまでの制作を通して、やりたいことをやりきったというのが休止の理由です。ここ数年でTraumerei Fabrikを応援してくださる方がとても増えた中で、活動休止の決断は心苦しくありますが、たくさん話し合った末での結論ですので、なにとぞご理解いただければ幸いです。

Traumerei Fabrikとしての活動はいったんおやすみいたしますが、メンバー個人として、秋晴は音楽、冷凍イナバPはデザインという軸で活動して参りますので、もしなにかあればお声掛けください。
連絡先は変わらず、 info@traumereifabrik.com 宛、もしくはメンバー個人のDMへ送ってくださいませ。

またいつか、Traumerei Fabrikとして作品を作りたくなったときに、しれっと戻ってきます。もしかしたらすぐにやりたくなるかもしれません。その際はぜひあたたかく迎えていただければと思います。

なお、通販につきましては、在庫のある作品に関してはboothにて頒布をいたします。現在公式通販サイトをboothへ移行準備中ですので、ご用意でき次第また改めてお知らせいたします。同時に、東方同人音楽流通への登録も検討しており、『ティルナノーグと永遠の歌』『幻想メトロ』等の完売したコンセプトアルバムのダウンロード頒布もできればと考えています。

同人でしかできない体験を届けたいというサークルの理念からコンセプトアルバムに関してはダウンロード頒布は行わない予定でしたが、ありがたいことに再版希望のお声も多数いただいており、サークル休止にあたって解禁する次第でございます。「ダウンロードでもいいからほしい!」というご要望、とても嬉しく、作品を作ってきてよかったなと噛み締めています。

それでは、またお会いできる日まで。いままでほんとうにありがとうございました。

MESSAGE

発表の通りTraumerei Fabrikとしての活動を一時休止させていただくことになりました。

こう書くと実質解散なんじゃないか、とかメンバーの不仲なんじゃないかとか色々とご心配おかけするかもしれませんがそういうわけではなく。

『ティルナノーグと永遠の歌』を頒布させていただいてから僕らの活動を応援してくださる方も増えてきたことを実感しております。

今後の制作を期待してくれている声も多く届いており、二次創作に携わる者としてとても嬉しく思っております。決してその声を無視した休止宣言ではなく、次の作品を作るにあたっての充電期間として捉えていただければと思います。

半年間とか1年間とか具体的な期間を設けることはできませんが、また面白いことを細々とやっていきたいと思っております。

僕については音楽活動や、twitterを始めとしたSNS活動については変わらず行っていきますので、引き続き仲良くしていただければと思います。それではまた。いつかTraumerei Fabrikの秋晴として皆さんに会える日まで。

いつの日かもっと強くなってかえってきます。じゃあね!

TRFB1013

INFORMATION

TRFB1013 “COURTRITUAL #04”
Released on 2019.10.13
東方紅楼夢15



STORY

ケの日をちょっとだけ楽しむために、ハレの日の思い出をそっとしまって。

COUATRITUAL #04 ハロウィン

TRACKS

  1. 永遠の春夢
  2. ネイティブフェイス
  3. 広有射怪鳥事 ~ Till When?
  4. アルティメットトゥルース

STAFF

Arrangement,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

音楽担当の秋晴です。例によって修羅場の中執筆しています。

特に意識したわけじゃないんですが、今回はジャズ色が強めのロックアレンジになってるかなと思います。#3以前と比べるとちょっとずつ音楽性も変わってきてるんですねぇ〜。

内容に触れていくと、ジャンルだけでなく展開も結構ひねくれた曲が多くて、かなり異質なアルバムになったかと思います。シリーズ4作目ともなればテコ入れが必要ってことですかね。

ちなみに今作が2019年の活動納めになるかなと思うんですが、今年は同人関係の作業が年初から今まで結構途切れなく続いていて、しばらく自分の曲ばっかり聴いてたような気がします。

そんな中で頭を一回リセットしよう!って時は最近BUMPの昔のアルバムを引っ張ってきて聴いてます。なんていうかやっぱりいいんですよね、BUMP。彼らはいつだって僕の青春そのものです。

今後はとりあえず制作が落ち着くのでいよいよ鬼形獣やりたいなと思います。なんか6面がいろんな意味でヤバいとか。気になる。早くやりたい。あとはファミコン探偵倶楽部がリメイクされるとのことで、推理ゲームとか推理小説とか久々にやってみたいなって感じです。最近のでおススメあったら教えて下さい。

それではまたお会いできる日まで。

冷凍イナバPです。シリーズ4作目です。イベント、毎年開催時期が同じなせいで宮中祭祀はもうネタが尽きています。ということでハロウィンです。Trick or Treat!

デザインは……。前回文字に逃げたので、今回はできるだけ文字要素を排除しようかなと思い、アール・デコな感じにしてみました。ハロウィンパーティのインビテーションぽく見えてるといいな。

毎回恒例の作業用BGMですが、今回はひたすら耳マッサージのASMR聞いてました、チョットヤバいね。そんな中で聞いていたアーティストというと、yonige、the peggies、赤い公園、などなど。ガールズバンドブームなのかもです。

あと最近ぼくのライナーノーツの文章を秋晴にパクられてる気がする。

それでは、今回はこのあたりで。しっかり聞いてくれなきゃいたずらするぞ! 冷凍イナバPです。

2019.10.01

東方紅楼夢15 頒布物のごあんない

こんにちは、来る10月13日、インテックス大阪で開催される東方紅楼夢15にサークル参加いたします。

東方紅楼夢

シリーズ「COURTRITUAL」の新作をひっさげて参りますのでよろしくおねがいいたします。

どうぞよろしく。

2019.08.18

『ティルナノーグと永遠の歌』通販開始&『ティルナノーグと刻の歌 リミックス/リマスター版』予約開始のお知らせ

みなさんこんばんは、冷凍イナバPです。いかがお過ごしでしょうか。

大変ながらくおまたせいたしました、C96新譜『ティルナノーグと永遠の歌』の、公式通販での頒布を明日の午前10時より開始いたします!

Traumerei Fabrik Official Shop↗




更新は手動なので遅れたらごめんなさい。明日のうちには始まると思います。


そして、夏コミでは落としてしまった『ティルナノーグと刻の歌 リミックス/リマスター版』の予約も同時に開始します。

こちらは必ず別の買い物カートでお会計をしてください。システムの都合上、他の商品と同時に購入すると発送が9月上旬になります。なにとぞよろしくお願いいたします。

パッケージ等は現在制作中ですので、完成次第改めてアナウンスさせていただければと思います。時間的余裕ができたので、C96のおしながき画像に掲載したものよりもう少しきちんと体裁を整えたものになる予定です。


以上、よろしくお願いいたします!

なにか質問やご懸念点などございましたら、メンバーのTwitterや公式のメールまでお問い合わせくださいませ。

TRFB1011

INFORMATION

TRFB1009 “ティルナノーグと永遠の歌”
Released on 2019.08.12
Comic Market 96 特設サイト↗



STORY

東風谷早苗という少女は、予想通りというか、予想に反してというか、いたって普通の少女だった。

田舎の女の子として、普通に育ったし、普通に暮らしていたし、常識的で現代的な生活を享受していた。自分自身が風祝という立場を継ぐと決まっていたし、そのために必要な知識や作法、立ち居振る舞いだって教えられたが、それはそれとして割り切れていたし、周囲もそれはそれとして、普通の付き合いをしてくれた。だからこそ、東風谷早苗はいたって普通の少女だった。

だけど、そんな普通も長くは続かないようだった。人々が科学の文明の力を得てから、ずいぶんと時が流れた。その流れの中で、非科学的な事象は「迷信」として世の中から徐々に排斥されていった。誰かが存在を信じることによって生きている妖怪たちにとって、現代というのは住みづらい場所へと変わっていった。風祝の子が仕える守矢神社もまた、例外ではなく。

――幻想郷へ移り住むという決断は、普通の少女には持て余す大きさだったけれど。風祝としてはそれが自然な選択だった。

そうして東風谷早苗は幻想郷の住人となり、ほうぼうでいろいろな珍事を巻き起こしたのはご存知のとおり。こちらの世界では、「一風変わった少女」としてその存在を受け入れられている。そうしていくつかの四季が過ぎ、現代のことも良き思い出として許容できるようになってきた頃、その言葉は唐突に投げかけられた。

「里帰りできると言ったら、する?」

そう言った本人――八雲紫の表情は、逆光に遮られて、ついぞ拝むことはできなかった。

TRACKS

  1. 風祝の少女
  2. 流るる星と波の音
  3. 燃える朝日と鳥の声
  4. 揺れる架線と映す水
  5. 朽ちた校舎と軋むドア
  6. すさむ社と留守の神
  7. 鳴かぬ世界と秘めた誓い
  8. ティルナノーグと永遠の歌

STAFF

Composing(M1), Arrangement(M2-8)
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
かずま
Mixing,
Mastering
憂鬱
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

「ティルナノーグと永遠の歌」をお手にとっていただきありがとうございます。音楽を担当いたしました秋晴と申します。

「ティルナノーグと刻の歌」という過去作をベースに1から作り直した作品が今作「ティルナノーグと永遠の歌」となっております。音楽的には前作を知っていればニヤリとするところもあるかとは思いますが、基本的に全て新曲です。「ティルナノーグと刻の歌」にはいろんな感情があり、一言では言い表せないんですが、一番強い感情は後悔の念が強い作品でして。我々の力不足な部分が大きく、「ポテンシャルはあるコンセプトなんだけどなぁ」と心にしこりを残したまま4年が経つこととなりました。その間僕たちも色々と成長した部分があり、「今の僕たちがティルナノーグをやったらどうなるだろう?」と考えるのは自然な流れでした。ゼロベースからの楽曲制作でしたが、なんとか頭の中のストーリーを無事に楽曲に落とし込めたのではないかなと思います。

今作のイメージの1つとして「海」というものがあります。幻想郷には「海」がありません。そして舞台となった早苗さんの故郷も「海」がない土地です。そんな彼女の世界に今まで無かった「海」が現れた。ここで単純に水着ではしゃぐ早苗さんの作品にならない所が我々の癖でして。しばしば「海」はいろんな意味を持ちます。「夏」「陽気」といった明るいものから「静か」「寂しい」といった暗いもの、更には「生命の根源」「人間には御せない自然の力」といった壮大なものまで。今作に登場する「海」にも意味を持たせています。そのあたりの話はまたいつかお話できたらと想います。

語りたいことは山程あるのですが、コンセプトの内容についてはこれくらいにして。今作を手にした方が、より東方projectを好きになっていただけたら、1ファンとしてこれほど嬉しいことはありません。と、言いながら、今作の音楽に関して言えば意図的に原曲の要素をあまり残さないようにしています。「こんなの東方の2次創作じゃねぇ!」という考えを抱く方もいらっしゃると想定はしていますが、ぜひ温かい心で僕たちの同人音楽、そして2次創作への挑戦を感じていただけたらなと思います。

音については「幻想メトロ」から引き続きミックス/マスタリングを憂鬱さんにお願いさせていただきました。制作が後ろ倒しになり締め切りをがっつり過ぎての素材提供となり、とてもとても迷惑をおかけしました。おかげで作品が完成することができ感謝しきれません。この場を借りて謝罪とお礼を申し上げます。

前述したとおり、今作は4年前の自分たちの作品への贖罪と、そして同人音楽というジャンルへの挑戦でもあります。東方projectのファン、同人音楽というジャンルが好きな方、そして4年前の自分たちへ、この作品が届くことを願って。

これがリメイクなのか続編なのか自分たちの中でも曖昧なのですが、『ティルナノーグと刻(とき)の歌』に続くシリーズが本作、『ティルナノーグと永遠(とわ)の歌』です。

曖昧といったのは、刻の歌も永遠の歌も全く同じストーリーの上に成り立っているからです。幻想郷は楽園で、そして早苗のいなくなった現代は荒廃する、この物語はどちらも共通です。

刻の歌の時点で考えていた結末は、崩壊した現代を見た早苗が失意に暮れるというあまりにも暗すぎるものでした。それ故に、刻の歌はただの帰郷の部分しか語らないという見せ方をしています。そのときのメモに「ただし、これだけだと伝わらないのでいつか解説本みたいなのを出したい」とあります。本作は解説本ではないですが、物語の骨の部分はわかりやすくなったのではないでしょうか。

刻の歌から踏み込んだ部分として、早苗が実際に荒廃した現代を歩き、何を感じ、何を考えたかを、書き下ろしの文章で表現しました。コンセプト以外のストーリーを書いたのなにげに初めてでした。どうでしたかね……?

とはいえ、この作品は起承転結でいう承までしか語っていません。これは意図的なもので、この先はみなさんの中の早苗さんに委ねたいからです。制作中、ぼくも秋晴も意識してこの先を考えないようにしていたので、ぼくたちでさえどうなるかわかってません。ティルナノーグの三次創作が見たい……!

かずまさんには今回もお世話になりました。早苗さんの表情なんかはめちゃくちゃ細かくダイレクションをしてしまったのですが、曖昧なニュアンスを汲み取って、時にはかずまさんからも提案をしていただき、さすがの一言に尽きます。イラストの力によってぼくたちのなかでの世界の確度を高められたと感じる瞬間ってすごく好きです。

憂鬱くんもありがとうございました。ぼくは音のことはあんまりよくわかってないので秋晴とのやり取りを横から見てるだけだったんですが、やりとりごとに確実に良い音楽になっていっててすごいなあと思いました。はい。

それから最後に4年前の自分へ。サブカルチャーの体現なんておこがましいことは二度と言わないように。でも刻の歌で考えてたことは無駄じゃなかったと思います。

それでは、またお会いできる日まで。

2019.08.11

C96 頒布物のごあんない

おまたせいたしました。C96の頒布物が出揃いましたので、おしらせいたします。新譜も無事に揃いました……!



頒布物一覧

です、よろしくおねがいいたします。

新譜『ティルナノーグと永遠の歌』に関してはある程度部数のご用意がございますが、そのほかの旧譜は少ししかないですー。
また、古い作品は古いのでケースに割れや欠けがあります。大変申し訳ないのですが、なにとぞご理解くださいませ……><

当日はこちらのポスターをめがけてやってきてください。南ニ-40bです。
Webカタログ

それでは、スペースにてお待ちしております〜!

2019.06.07

C96 / 当選しました4日目南ニ-40bです

こんにちは、本日C96の当落発表があり、Traumerei Fabrikは4日目(月曜日)の南ニ40bにスペースをいただきました。

Webカタログはこちら。 Traumerei Fabrik | Comike Web Catalog

今年も相変わらずカツカツ進行ですすんでいますが、新譜、出せるように頑張っています〜。お楽しみに。

また、各メンバーのツイッターでも進捗報告やらなんやらをつぶやいていくと思いますので、よろしければフォローしてくださいませ。







2019.05.01

第十六回博麗神社例大祭 参加作品のごあんない

ご無沙汰しております。来る5月5日、第十六回博麗神社例大祭にて頒布する、弊サークルの参加作品情報および委託情報をお知らせいたします。

コンピレーション参加

H35b / 渦状セントラル

新譜『キレヌモノ。2』 特設サイト/キレヌモノ。2 – 渦状セントラル

コンピレーション参加および委託頒布

J41a / Red Bullet Sequence

新譜『幻想メルティングポット3』 特設サイト/幻想メルティング・ポット3 – Red Bullet Sequence 委託作品
  • 幻想メトロ 1000円
  • COURTRITUAL #3 300円
  • COURTRITUAL #2 300円
  • COURTRITUAL #1 300円
  • Othello 1,000円
です、よろしくおねがいいたします。 当日は秋晴がJ41a、Red Bullet Sequenceさんのスペースにて売り子予定です。ぜひ会場でお会いしましょう!

TRFB1010

INFORMATION

TRFB1010 “COURTRITUAL #03”
Released on 2019.02.11
極・東方神居祭14



STORY

ケの日をちょっとだけ楽しむために、ハレの日の思い出をそっとしまって。

COUATRITUAL #03 祈年祭

TRACKS

  1. U.N.オーエンは彼女なのか?
  2. ネクロファンタジア
  3. 死霊の夜桜
  4. 亡き王女の為のセプテット

STAFF

Arrangement,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

COURTRITUAL #3をお手にとって頂きありがとうございます。アレンジ担当の秋晴でございます。冬コミで『幻想メトロ』を頒布してから約1ヶ月、超スピード(当サークル比)での新作頒布となりました。

『幻想メトロ』では明るいロック、ポップス寄りな編曲が多かったのですが、今回はいつも通りのロックアレンジを皆様にお届けできたかなと思います。

曲目を見ていただくとわかる通り今回は強い原曲を中心に選んでおります。「強い」というのは人気面であったり、流れる場面であったり色々な意味を込めてこの表現をさせていただきました。

実を言うと2019年は僕が東方アレンジ、ひいては音楽を始めて10年が経つ年でもあるんですね。そんな年だからこそ、今の自分の力量でこの強い原曲達をどこまで料理できるのだろう、自分の10年間を代表するアレンジを作ってみたい。そんな思いが今回のテーマとなっています。結果は如何だったでしょうか? 判断は聴き手の皆様に委ねるとして……

そんなわけで記念すべき音楽歴10年目の年の初頭にすっかり燃え尽きてしまった感はありますが、今までの総決算とこれからの目指すところが見えたアルバムになったかと思いますし、そんなアルバムを活動の原点である北海道は札幌市で最初に頒布できることを嬉しく思います。

COURTRITUAL #3、最後までどうぞお楽しみ下さい。

冷凍イナバPです。

COURTRITUAL 第三弾は「祈年祭」がテーマです。祈年祭・新嘗祭は宮中祭祀のなかでも重要なものなのですが、どれもこれも五穀豊穣、稲作に関連していて、第一弾の「神嘗祭」でやったお米モチーフがぼくの首を締めてきます(笑) 手数、増やしたいですね。

ということでもう万策が尽きまして、「pray」という文字をグラフィックに落とし込む、という逃げの一手を打ちました。目がめちゃくちゃチカチカする。作っている最中もパソコンの画面を見続けることができなくて、しょっちゅう休憩をとっていました。どうせならブックレットも目をチカチカさせてやろうと思って蛍光バチバチです。「祈年祭がテーマ」とはなんだったのか。

さてさて。

今回の制作期間中は、The 1975やFrancis and the Lightsを聞きつつ、邦楽ザッピングをはさみつつ、という感じでした。そうそう、久しぶりにスペサンを聞いたのですが、エモいな〜。こういうバンドやりたいよねっていう話を秋晴くんとしてました。

それでは、リリース5日前(例によって若干修羅場)の自宅から、2019年のみなさまの心の五穀豊穣を祈って。

2019.02.05

極・神居祭14 頒布物のごあんない

おまたせいたしました。極・東方神居祭14の頒布物が出揃いましたので、おしらせいたします。郵送で事故らなければ新譜もあるはずです……!たぶん……!



頒布物一覧

です、よろしくおねがいいたします。

冬コミ新譜『幻想メトロ』に関してはそれなりに在庫ございますが、そのほかの旧譜は少ししかないかもしれません!
また、古い作品は古いのでケースに割れや欠けがあるかもしれません。大変申し訳ないのですが、なにとぞご理解くださいませ……><

今回、冷凍イナバPは会場に行けないのですが、秋晴は元気にやっているとおもいます。
それでは、札幌コンベンションセンター 大ホールにてお待ちしております〜!

2019.02.01

極・東方神居祭14 / 参加しますL-07です

みなさまこんにちは、冷凍イナバPです。

来る2月11日に札幌コンベンションセンター 大ホールにて開催される、極・東方神居祭に参加いたします。

Traumerei FabrikはL-07にスペースをいただきました。

冬コミ新譜の幻想メトロを札幌で初頒布するほか、旧譜も少し持ってまいります。

そしてそして! 新譜も出せたら出したいと思ってます……!
(秋晴ともども、かつてないハイペースに戦々恐々としております)
頒布物の詳細はまた後日、お知らせいたします。

また、各メンバーのツイッターでも進捗報告やらなんやらをつぶやいていくと思いますので、よろしければフォローしてくださいませ。

秋晴(@akkeybarey)
冷凍イナバP(@inabap)

2019.01.14

『幻想メトロ』通販開始&完売ごめんなさいセールのお知らせ

みなさんこんばんは、冷凍イナバPです。いかがお過ごしでしょうか。

大変ながらくおまたせいたしました、C95新譜『幻想メトロ』の、公式通販での頒布を本日より開始いたします!

Traumerei Fabrik Official Shop↗




そして、せっかくビッグサイトまで足を運んでいただいたのにお手にとっていただけなかったお詫びとして、心ばかりですがセールを開催いたします。


セールその1「旧譜をどどんとお値下げ」

搬入の都合で持っていけなかったトロイメライファブリックPapyrusの2作品を、80%オフの100円で頒布いたします!

こちらの2作品、初頒布から長い時間が経過していることもあり、一部商品のケースに傷みがある場合がありますが、なかみはどちらもプレスCDになっています。

ぽっと出のサークルがコミケ初参加でプレスCDを作っていたことに若干の戦慄を覚えますね。まさに出血大サービスです


また、ティルナノーグと刻の歌に関しても、少しだけお値下げいたしました。こちらは40%オフの300円にてお求めいただけます。

予定は未定ではありますが、ティルナノーグと刻の歌、いまのうちに聞いておくと、楽しい展開が待っているかもしれません……! 未視聴のみなさまはぜひぜひ、この機会にチェックしてみてください!



セールその2「1週間限定!送料300円引き!」

こちら、スペースまでお越しいただいたかたに2度手間を強いてしまったお詫びとして、1000円以上お買い上げのかたの送料の一部をTraumerei Fabrikがご負担いたします!

もちろん、最初から通販でご購入予定だったかたもご利用いただけますので、この機会にぜひ、いろいろ作品を聴いてみてください。


ご利用方法は、ご注文画面のクーポンの欄に TRFBSHIP300 とご入力いただくだけです。

こちら、2019年1月21日の23:59まで利用可能となっておりますので、なにとぞよろしくおねがいいたします!



駆け足での告知となってしまいましたが、ぜひぜひ、みなさまご利用くださいませ! 冷凍イナバPでした。

Traumerei Fabrik Official Shop↗

TRFB1009

INFORMATION

TRFB1009 “幻想メトロ”
Released on 2018.12.30
Comic Market 95 特設サイト↗



STORY

博麗神社の近所に湧いた間欠泉にまつわる騒動が一段落してからはや10年。当時を振り返って思い出話に花を咲かせようじゃないかと、早苗、神奈子(と、オマケで諏訪子)が持ってきたのは一束の資料。それは地下の鉄道計画だった。これがどうしてなかなかよくできている。

10年前の絵空事を本気にしてみるのも悪くない。どうせ、地底の土地は有り余っているのだし。
「迷惑がかからないなら、勝手にすれば?」と、霊夢は興味がないみたいだけれど……

そんなこんなでできてしまった地下鉄には、今日もいろいろな存在が乗り込む。多くは自分の足で遠出をするのが難しい、里の人間たち。遠くに行く演出としてわざわざ乗ってくる妖怪や幽霊、鬼や神なんかもときどき。霊夢もちゃっかり、券売機の隣におみくじを置いている。

今日は誰がどこへ向かうのだろう。メトロは走る。幻想郷の有象無象とワクワクを乗せて――

東方projectの物語では起こり得なかったけれど、たまにはこんな妄想も悪くない。東方地霊殿から10年目を記念して、Traumerei Fabrikが送るフィクションのおはなしです。

TRACKS

  1. 幻想メトロ、全線開通
  2. 旅のしおりを忘れずに
  3. いつもの待ち合わせ場所
  4. 雑踏の中へ
  5. 本日快晴地底日和
  6. 地底の車窓から
  7. ダイアグラムラプソディ
  8. 最終便
  9. 幻想メトロ

STAFF

Arrangement
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
たま。ひよこ缶
Mixing,
Mastering
憂鬱
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

Traumerei Fabrik 9作目『幻想メトロ』、まずはお手に取っていただきありがとうございます。

今作のアレンジのコンセプトは「明るくて、ポップで、キャッチーなアルバム」でした。作品のコンセプトや構想などは例によって6年くらい前から出ていた今作ですが、いざ作ってみるとまぁ難しくて。

というのも僕が田舎者なために地下鉄に乗る機会が全然なかったというのが大きいのです。そこで今作の制作に入る段階でまず札幌に行き、地下鉄に乗って色んな場所に行きました。無心で一時間くらい適当に乗って移動してたんですが、地下鉄って暗いし景色も特になければBGMみたいなものもなくて。だからこそ降りて地上に出てみると「別世界に来た!」という印象が強烈に残って、僕が今回目指す地下鉄のイメージってこれかなーと。そこからはとにかく色んな音楽に触れて、作ってみての繰り返し。一曲終わったら別世界が広がってる! そんなアルバムを目指して制作してました。

そういった事情もあり、今作は今までのアルバムの中でも随一のアレンジの幅広さを持つ作品になったのではないかと思います。とはいいつつも好みは変わってないので、ベースはうねうね動き、ドラムソロもあればジャズ的なアプローチもふんだんに入っていますがまぁまぁまぁ。

あと今作において外せない話題としては、ミックス/マスタリングを憂鬱氏に依頼したことです。「うっすら強め」「ちょっと強め」「ほんのり強め」「気持ち強め」という僕のあまりにも抽象的な注文に対してバチッと正解を提示していただき、逆に憂鬱さんからも「こうしたらどうか」「ここはどうしたらよいか」とお互いの意識を擦り寄せながらの作業でした。僕自身こういったミックス以降の作業を他人にやってもらうことがなかったので多くのご迷惑をおかけしながらの制作となりましたが、最後には一発目のラフミックスの段階でバッチリ僕好みの音にメイクされていて、心の中を見られているのではないかと思うほどでした。間違いなく今作は憂鬱さんの力なしには完成し得なかったと言っても過言ではありません。この場を借りて御礼申し上げます。

そんなわけで今作は今までのTraumerei Fabrikのアレンジアルバムとはアレンジもサウンドもちょっと違う、でもどこか「らしさ」もある、不思議で楽しいアルバムになったのではないかと思います。

これまでTraumerei Fabrikを知ってくださっていた方も、これから知るという方も。

旅のお供に『幻想メトロ』、どうぞお楽しみください。

ようやく……メトロの名を冠したアルバムを出せました……長かった……。

というのも、最初に「メトロ」というコンセプトが挙がったのが2012年の11月。6年余りの時間を経てようやくみなさんにお届けすることができました。とはいえ実際に手を動かしていたのは2018年の夏コミ付近からなのですが。

2012年のメモを見ると、無邪気にも「サインデザインやりたい! 路線図作りたい! ノベルティ化したい!」と書かれています。そこから妄想はどんどん広がり、CIをやろうとか、制定書体を作ろうとか、実際にダイヤグラムを引いてみようとか、各駅ごとの駅メロを作るんだとか、それはもう大風呂敷を広げに広げて、広げっぱなしで気づけばずいぶん時間が経ってしまって。

そうして火照った頭は活動休止期間や別のアルバムの制作を経験して徐々に冷やされて、最終的なガワとしては開業にフィーチャーしたクリエイティブに落ち着きました。いい落とし所だという納得半分、本当にこれでいいのかという疑問半分。

ともあれ、地霊殿から10年の節目ということもあり、ここらでいったんケリをつけて、やり残したこと、もっとやれたと思うことは次回作以降に昇華すると割り切って、この数ヶ月舵をとってきました。

幻想メトロの開業にフォーカスしてからもなかなかに難産で、どういう形でデザインに落とし込むのかに数週間悩んだり、コピーを決めるのに数ヶ月かかったり、 本当にうろうろさまよいながらなんとか形にして、いまもさまよいながらこの文章を書いています。その過程で、イラストをお願いしたたま。さんにはとても助けてもらいました。毎回、イラストをお願いするというよりもはやメンバーの一員のように一緒に作り上げていく感覚のほうが強いのですが、メトロは特に、イラストでぼくたちの世界を補強してもらったなと思います。ありがとうございます。

身内を褒め合うのもなんだかなあと思っていつもは曲の話はしないんですが、今回はひとことだけ。通しで聞いたとき、楽しくて、わくわくして、だけどたまに物寂しさもあって、地下鉄の、公共交通の持ついろんな表情が感じられて。いいアルバムじゃないですか?

キャッチーでポップなアルバムのライナーノーツなのになんだかズシッとした重量感のある文章になってしまいました。視聴前にこれを読んでしまったかたは、なにとぞいったん忘れてお聞きいただければ……。

それでは、またお会いできる日まで。

2019.01.11

Traumerei Fabrikがやっていきたいこと
– これからのこと。 –



みなさんごきげんよう、Traumerei Fabrikの冷凍イナバPです。

前編中編と、過去と現在の話をしてきたので、最終回はこれからのTraumerei Fabrikについておはなししたいと思います。

コンセプト作品の功罪

ここまで、「私たちはコンセプトにこだわって作っています」という話をしていました。いきなり矛盾してしまって申し訳ないのですが、2017年から2018年にかけて、COURTRITUALという、コンセプトがほとんど存在しないシリーズを2作リリースしています。


COURTRITUAL #01 / COURTRITUAL #02

コンセプトを立てることの意味に関しては、前編でご説明いたしました。けれどふと冷静になって考えると、私たちは同人即売会に来てくださる方々をないがしろにしているのではないかということに思い至ったのです。

同人即売会、特にコミケに関してはよく戦場に例えられます。来場される方にとって一瞬一瞬が勝負の時間であり、それは私たちサークル側もそうです。いかにして、会場で初めて私たちのことを知ってくださった方に、私たちの作品を手にとっていただくか。あるいは視聴していただくか。

もちろん、見て頂いた上で、自分の趣味嗜好には合わないと感じる方もいらっしゃるでしょう。そういった方には、感謝こそすれど、決して不快に思ったりしません。即売会という戦場で、短くない時間を使って私たちの作品を見て、聞いてくださる方がいらっしゃることは本当に嬉しいことです。

はたして、私たちはそういった方たちに対して親切だったか? と自問自答すると、ある意味で不親切だったと反省する次第であります。それは、無愛想に対応したとか、不誠実な応答だったとか、そういうことではなく。短い時間で十全に伝わる努力を怠っていたという意味で。

コンセプトを立ててガチガチに作風を固めることは諸刃の剣なのだと気づきました。私たちのことを知ってくださっていて、あらかじめ作品の特設サイトなどを見て来ていただいたかたには良い体験をお届けできている自信がありますが、一方で、いわゆる「ジャケ買い」をして、WebサイトやTwitterを見ることなく、CDだけを手に取った方には説明不足だったような気がします。

だからといって「じゃあCDだけで完結する作品にしよう」というのは、私たちにとっては敗北である気もするのです。そこで、着地点として「ライトな作品」を作ってみようという結論を出したのです。明快なテーマで、CDだけでも楽しめて、WebサイトやTwitterを見て下さった方にはもっと楽しんでいただける……。そんな作品があってもいいなという気持ちで、まずは2作頒布いたしました。

COURTRITUALシリーズは、東方Projectという作品の持つ宗教性やアニミズムにフィーチャーして、「宮中祭祀」をモチーフにグラフィックを制作する……。というタテマエのもと、曲もデザインも、その時やりたいようにやろう、というシリーズです。このシリーズは、「こういうの思いついたんだけど今回のコンセプトには全然合わない!」というフラストレーションを発散する役割も担っています。

「間口をゆるやかにとってTraumerei Fabrikというサークルを知っていただく」という目的上、お求めやすい頒価に設定し、実際に東方神居祭やコミケにて頒布いたしました。その結果、とりあえずCOURTRITUALだけ聞いてみますと言ってくださる方や、COURTRITUALを聴いてTraumerei Fabrikを好きになりましたというありがたいお言葉も頂戴して、ひとまずは成功したかなという安堵の気持ちでおります。

コンセプトがあることと、キャッチーさの両立

また、C95で頒布した『幻想メトロ』も、モチベーションの一つに「コミケ映え/会場でもわかりやすいキャッチーさ」がありました。この作品はコンセプトのある作品群にカテゴライズされるものではありますが、努めてわかりやすく、ポップに仕上げた作品です。

この作品に関しては、単純に「わかりやすかったから良かった」だけの結果ではないと思いますが、想定以上に好意的に受け止めていただき、ありがたいことに会場頒布分を完売することができました。(お求めいただけなかったみなさま、申し訳ありませんでした)

1月14日を目処に公式通販での頒布を開始いたしますので、もう少しだけお待ちいただければ幸いです。

これから、私たちが挑戦したいこと。

これら三作品を通して、Traumerei Fabrikとしてこれからやっていきたいことが少しずつ解像されてきたように感じています。

まず、コンセプトの深度は「浅いものと深いものの二軸でやっていく」ことです。うまく回ったという手応えがあるので、今度はこの指針からぶれないように、どちらの軸に重きを置いた作品なのかを意識したディレクションを心がけようと思っています。

そして、もっともっとたくさんの人に聴いていただくためのアプローチをより多様化して一つ一つのクオリティを上げていく必要性も強く感じました。『幻想メトロ』のプロモーションを通して、デザイナーの立場として「いくら曲が良くても聴いてもらえないと始まらない」という危機感を覚えたのです。そのために、純粋にクリエイティブの質を上げることも必要だし、これまでやってこなかった、動画制作や演出的なWebの実装といった領域まで、まさに指先まで神経を尖らせていかねばならぬと心を新たにしています。

その先にある一つの目標として、クリエイティブユニットとして他サークル様の作品づくりのお手伝いがしたい、という思いがあります。

東方アレンジ作品に対する楽曲提供やデザインのご依頼はもとより、東方アレンジ作品以外でも、例えばゲームや動画用のBGM、書籍に深みをもたせるためのダウンロード形式の楽曲、二次創作作品のコンセプトからの参画など、私たちにできることをご依頼していただけるようになっていければ、と思っています。


さて、というわけで少し先の未来への抱負を述べました。これから、今まで以上に、Traumerei Fabrikというユニットとしてよりさまざまなことに挑戦していこうと思っています。もしかしたらその過程で、これまでの私たちと全然違うじゃんとご期待を裏切ってしまうことになるかもしれません。そうならないよう精一杯の努力をしていきますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。これからも、Traumerei Fabrikをどうぞよろしくお願いいたします。

2018.12.25

C95 頒布物のごあんない

おまたせいたしました。C95の頒布物が出揃いましたので、おしらせいたします。新譜もありますよ〜!

  • 幻想メトロ 1000円
  • COURTRITUAL #2 300円
  • COURTRITUAL #1 300円
  • Othello 1,000円
  • ティルナノーグと刻の歌 500円
  • Papyrus300円
  • トロイメライファブリック 300円
です、よろしくおねがいいたします。 当日はこちらのポスターを目印にお越しくださいませ。



それでは、スペースにてお会いできることを心待ちにしております……!

2018.12.13

VIを刷新しました。
– いまやっていること –



みなさんこんばんは、Traumerei Fabrikの冷凍イナバPです。

前回は、「Traumerei Fabrikとは何者なのか」と題して、ぼくたちがこれまで何を考えて制作してきたのかをおはなししました。
3部立ての中編にあたる今回は、2017年に刷新したサークルのVIについてのおはなしをしようと思います。

VIを刷新しました。

さて、C92からサークルのVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を刷新いたしました。すでに頒布物やスタッフTシャツとして定着させています。とはいえ、作品のコンセプトや時代の潮流によっては細かい頻度でアップデートしていこうと考えています(具体的には、新しい作品を出すたびにVIも見直したいと思っています)。この頻度は通常のCIやVIの考え方からは受け入れづらいことだと思いますが、同人というフィールドだからこそやってみる価値がある、ような気がしています。

以前のロゴは、2011年か2012年頃に制作したものです。当時はAdobe製品を購入してすぐで、書体についても無頓着だったので、小塚ゴシック体の従属欧文であるMyriadをベースにしています。夢の工場をモチーフにしたロゴタイプです。

発想やアプローチとしては悪くないと思いますが、視認性の低さや取り回しの難しさから、新しくしたいと思っていました。

2015年に発表した『ティルナノーグと刻の歌』の際はVIに割く時間がなく、かつ既存のロゴは作品にそぐわないと判断したため、Gothamのスモールキャップを使用しています。これに関しては当時の自分に理由を聞きに行きたいくらい悪い判断でした。アイデンティティを変更する覚悟の伴わない、雑な意思決定だったと反省しています。

C92のリニューアルのタイミングも、Othello自体の制作や、私生活での環境の変化などからあまりVIに時間を使えなかったのですが、その中で考えていたことをご紹介したいと思います。

タイプフェイスについて

VI刷新にあたってまず始めたのは、ロゴタイプの検証です。
ロゴタイプはVIの統一性をもたせるという点から今回は既存のタイプフェイスを用いて制作しようと考えていました。(いつかオリジナル書体も作りたいですね)
旧ロゴを制作するときに考えていた「工場のレトロさと未来感の共存」をうまく継承しつつ、新しく「スタイリッシュさ」「視認性の良さ」なども取り入れたいと思い、最終的に候補に残ったのは以下の3つの書体です。

  • DIN Next Condensed(Linotype)
  • Futura ND (Bauer Types)
  • Gotham (Hoefler & Co.)

DINはドイツ工業規格 (Deutsche Industrie Normen)のことです。Traumerei Fabrikの名前がドイツ語ということもあり、真っ先に候補に挙がった書体でした。工業規格の書体ということで、グリフの幅がほぼ一定で、無骨な印象です。

Futuraは世界でもっとも有名なジオメトリック・サンセリフのひとつで、ハイブランドのロゴタイプなどにも採用されているように、都会的で洗練された印象があります。

Gothamは比較的歴史の浅い書体ですが、最近は様々なところで目にするようになりました。もとはメンズファッション誌のために作られた書体で、「雄々しく、新しく、フレッシュに」というオーダーどおりの骨太な書体です。

3書体で「Traumerei Fabrik」と打ったとき、まず感じたのは文字の密度のばらつきでした。VIが正式表記と異なるのはどうなんだという気持ちもありつつ、見た目優先でオールキャップスにすることにしました。(正式はTraumerei Fabrikです)

そして、オールキャップスでベタ打ちしたものを並べたものが以下の画像です。

並べてみたとき、DINはやや没個性的で印象に残りづらいと感じました。また、Futuraはややおしゃれすぎるので、これもまた我々の想像する「夢の工場」とはちがった印象だと感じました。

文章ではさらっと流しましたが、それなりの紆余曲折を経て、Gothamをベースにロゴタイプの制作に取り掛かります。
Gothamをベースにと言いましたが、調整した比較画像のとおり、ほとんど元のグリフから変わりありません。

水色の線が調整前、ピンクの線が調整後のグリフです。
T / R / M / I / K の5つのグリフは変更なしです。
Aは重心をやや下げています。Bも重心を下げつつ、上部のボウルを大きくし、上下でシンメトリに見えるようにしています。この2文字は安定さを増す処理です。
Uはごくわずかですがアールをシャープにして、ややスッキリとした輪郭に調整しています。E / Fは安定感のあるもとのグリフのバーをやや左に縮めることで、密度感を調整しています。この3文字は、安定感はややなくなりますが、全体での密度調整をして風通しを良くしています。

ロゴマークについて

ロゴタイプのほかに、新しくロゴマークを制作しました。Traumerei Fabrikの頭文字「TF」を、4つの矩形のネガティブスペースで表現しています。(fig.1)

単純な矩形で表す、という決定をするのには大変な葛藤がありました。それでも、これでリリースすると決断したのには理由があります。

それは、ローファイな環境でも耐えうる点です。これは高解像度なディスプレイがメジャーになってきた今、時代に逆行している考え方かもしれません。ローファイを志向したのは、私たちのサークルの理念に基づいた判断です。

Traumerei Fabrikは「夢の工場」という意味です。夢と一言にいってもなかなか定義付けは難しいですが、将来に対する期待や目標というポジティブな言葉だと私は思います。つまり、私たちの作品を体験していただくことでポジティブな気持ちになれる、そんな作品を作る工場でありたいという願いが込められています。具体的なビジョンのある高解像度な夢を持っている方もいらっしゃる一方で、とても曖昧な、漠然とした「夢」しかない人もいるでしょう。私自身、具体的な夢もあれば、ぼんやりと「こうなっていたいなあ」と思っている夢もあります。そんな解像度の低い、ローファイな夢を持っていることは素敵なことだと思っていて、だからこそローファイなロゴマークを思い切ってリリースしました。あらゆる人の夢の工場でありたいという思いがあります。

矩形の配置は、まず正確に縦3等分、横5等分したグリッドを基準としました。(fig.2)
これはピクセルの概念です。前述のローファイを体現するべく、ディスプレイ上の最小単位である1dotを基準に採用したのです。ただし、実際に使われる際に3×5pxという極小サイズで表示されることはまず考えられません。そこで次に、実際に使用されるであろうサイズ感での視覚調整を施しました。やや縦に圧縮することで、正方形の矩形が視覚上きちんと正方形に見えるようにチューニングしています。(fig.3)

アセットの制作

さらに、アセットとして、一つのファイルにまとめて、サークルメンバーの誰でもアクセスできるようにまとめました。

このファイルも、都度更新をして使いやすくしていきたいと考えています。


上記のような作業を経て、とりあえずのVIが完成したわけであります。そして前述の通り、これからも少しずつリファインを重ねていく気でおりますし、ある日いきなりガラッと変えてしまうかもしれません。これはブランディング的な観点からはありえないことだと思いますが、同人活動であるということで、ぜひお目こぼしいただければ幸いです。

次回は、Traumerei Fabrikとして今後どんなことをやっていくのか、どんなことに挑戦していくのか、というおはなしです。前編、後編に比べると短くなると思いますが、この機会に所信表明させていただければと思います。おたのしみに。

2018.12.03

 

Traumerei Fabrikとは何者なのか。 – これまでやってきたこと –

 
みなさんこんにちは、Traumerei Fabrikの冷凍イナバPです。 冬コミのまえに改めて、ぼくがこのサークルで今やっていること、これまでやってきたこと、これからやっていくことを表明したいと思いたち文章を書きました。前編/中編/後編の3部立てという、少々長い文章になってしまいましたが、よろしければおつきあいくださいませ。 前編たる今回は、「Traumerei Fabrikとは何者なのか」と題して、ぼくたちがこれまで何を考えて制作してきたのかをおはなしします。

Traumerei Fabrikのはじまりと、フィロソフィー

Traumerei Fabrikは、楽曲を制作しているクリエイティブ・ユニットです。 私たちは2010年頃に発足しました。初めて出会ったのは、個人ブログで交流があったSkypeのグループでした。12人くらいいた中の2人が私と秋晴でした。個人ブログで交流があった、と言いましたが、私たちに直接の交流はなく、友だちの友だちというほぼ他人のような関係値からのスタートでした。 当時は秋晴が「大合奏!バンドブラザーズ」というゲームで楽曲制作をしていて、その楽曲を世の中に発表するときのデザインをスポット的に私が手伝うという、あくまで秋晴個人での制作という形だったと記憶しています。そのころは私もデザインに関して全くの無知で、秋晴の手伝いを通して自分の技量不足を感じ、デザイン書籍を読み漁り始めたきっかけになりました。 どの段階で私が正式にサークルに所属したのかはっきりとは覚えていませんが、2012年のコミックマーケット82で初めてCDをプレスして出すことに決めたころにはメンバーになっていました。その、プレスCDを出す、となったとき、初めて「Traumerei Fabrikはなにをするサークルなのか」ということを意識しました。当時のWebサイトにサークルについてこのような文章を載せています。
Traumerei Fabrik(トロイメライファブリック)は、様々なジャンルの音楽を制作している同人音楽サークルです。 サークル名の意味は”夢の工場”。寝ているときに見る夢、将来実現したい願望としての夢、さまざまな夢があると思います。私たちの音楽を通して、みなさまがいろいろな夢を思い描いてくださることを目指しています。 その目標のために、曲とともに物語を展開し、さらにパッケージに広げるなど、あらゆる要素から積極的にアプローチしております。「同人音楽」という制約の少なさを活かし、さまざまな事柄を設計していく工場でありたい―― 私たちTraumerei Fabrikは、”夢の工場”という理念を基に、これからも日々、挑戦を続けていきたいと思っております。
なんとも青臭い文章で恥ずかしい限りではありますが、この時考えたサークルの理念はいまでも変わらずにいます。

コンセプトがあること

コミケ処女作で初めてプレスCDに挑戦した、サークルとしては3作目の『トロイメライファブリック』は、ある日河城にとりが自分だけの工場を見つけた―というところから物語がスタートしています。やりたいことと自分の技術力の差が激しすぎて今見るとまったく伝わらないのですが……。

4作目の『Papyrus』は初めて特殊パッケージを手掛けたアルバムで、この作品もコンセプトに基づいて制作しています。デザイン的な拙さはもちろんおおいにあるのですが、この制作を通して「Traumerei Fabrikらしさ」のようなうっすらとした方向性が見えてきたので、個人的に思い入れの深いアルバムです。

5作目『ティルナノーグと刻の歌』はかなり悲壮なコンセプトなのですが、悲壮すぎるので表面に出すのはライトな部分だけにしよう、ということになり、実際に世の中に出たのはプロローグのみになっています。 Papyrusから3年ほど期間が空いたこともあってお互いのスキルがそこそこ伸びて成長を感じられるアルバムだったのですが、ほぼノー告知で頒布したためあまり知られていないアルバムとなってしまいました。 このアルバムに関しては、コンセプトの持っているポテンシャルを発揮しきれていないのでいずれまた新しい形で世の中に出したいなと思っています。

そして、昨年の夏コミでリリースした『Othello』は、自分たちにとっても、ようやくコンセプトアルバムとしてある一定の水準まで作れるようになったなと思う作品でした。正義と悪の二面性をオセロというモチーフに落とし込み、真空パックにすることで矮小化しました。自分が正義だと信じていること、あるいは悪だと信じていることは、断絶されたごく小さな世界のなかでの話であることを、パッケージングによって表現したのです。

と、このように、一貫して「コンセプトがあること」ということにこだわって作ってきました。

原作リスペクトと、コンセプトの意味

実を言うと、コンセプトを立てる意味について秋晴ときちんと話し合ったことはありません。いつもなんとなく「こういうことがやりたい気がする」と言い出して、じゃあとりあえず外に出せるような体裁くらいは整えるか、と進んでいくことが多いです。それでも毎回コンセプトにこだわるのには理由があります。 一番大きいのは「コンセプトがあったほうが自分たちが作っていて楽しいから」ということです。同人というフィールドをメインにしている私たちにとって、楽しいことはとても大事です。お仕事でご依頼頂いた案件はさまざまな制約のあるなかで最大限のパフォーマンスを追究する楽しさがありますが、それとはまた違った楽しさがあり、同人だからこそ経験できることだな、と感じています。 コンセプトを立てることは原作をリスペクトする良いアプローチであることも理由の一つです。もちろん、コンセプトがない作品を貶めているわけではありません。むしろ、変な理屈を考えずに「作りたいから作るんだ」という熱意がむき出しのものこそプリミティブな創作意欲だとすら思っているので、そういった情熱のある作品は大好きです。私たちも純然たる創作意欲のもとで動いていることにはかわりないのですが、どうせやるからには私たちにしかできないことがやりたいという思いから、コンセプトを大事にした作品づくりに力を入れています。 私たちがメインの制作の舞台としている東方Projectは非常に懐の深い作品で、結構無理のある設定でも許してくれる空気感があります。また、シリーズを通して日本固有のアニミズムがほのめかされていて、考察の余地が大きいのもやりがいのある部分です。これを、原作者であるZUN氏からの挑戦状だと勝手に都合よく解釈して、私たちなりの答えを作品にぶつけているのです。ちょっとひねくれてはいますが、私たちなりの原作への愛情、ということです。

同人音楽とデザイン

さて、サークルの舵取り係としてはそんな感じなのですが、つづいてデザイナーという立場からコンセプトがある同人音楽について考えてみました。 コンセプトがあるということは、同人音楽でありながら、作品が音楽とCD、およびケースにとどまらないということです。 ふつう、音楽を体験するとき、人はCDを買うかダウンロードするかします。2018年になったいまでも、同人即売会でやり取りされるのはまだまだCDが主流のように感じます。そのCDには、ケースがあり、ディスクが入っていて、ブックレットがついていたりいなかったりします。ブックレットにはCDのアートワークとトラックリスト、サークル名などが記載されていて、CDを再生機器やパソコンに挿入して音楽を聞きます。 作った曲を聞いてもらうという体験は、それだけで完結することです。けれども私には、それがとてももったいないことに思えるのです。仕事ではなく趣味として制作した楽曲をお金と時間をかけてCDにするのに、ただ曲を作ったから聞いてくれ、というだけなのはとても味気ないと感じました。だからこそ、デザイナーとして「同人CDを聞く」体験すべてを最適化していきたいと思ったのです。その答えがストーリーであり、コンセプトであるのです。CD一枚を通して、二次創作の小説や漫画を読み終えたときのような没入感が得られるようにディレクションしているのです。

というわけで、Traumerei Fabrikの雑用係として、デザイナーとして、Traumerei Fabrikとはどういうサークルなのかを考えてみました。体験を大切にしている、クリエイティブ・ユニットです。

改めて、よろしくお願いいたします。 次回は、Traumerei FabrikのVI(ヴィジュアル・アイデンティティ)を刷新した話をしたいとおもいます。いわゆる「サークルロゴ」の造形についてのおはなしです。おたのしみに。

2018.11.02

C95 / 当選しました2日目東レ-52aです

こんにちは、本日C95の当落発表があり、Traumerei Fabrikは2日目の東レ-52aにスペースをいただきました。

このまま制作が順当に進めば新譜が出せる予定です……!詳細はまた後日、お知らせいたします。

また、各メンバーのツイッターでも進捗報告やらなんやらをつぶやいていくと思いますので、よろしければフォローしてくださいませ。







2018.08.21

公式通販の商品を拡充いたしました

みなさんこんばんは、冷凍イナバPです。いかがお過ごしでしょうか。

以前はOthelloのみだった公式通販サイトに、新譜を含むTraumerei Fabrikの作品をどしっと追加いたしました。

Traumerei Fabrik Official Shop↗

イベントで好きになったから別のアルバムが聞いてみたい!なんてかたや、欲しかったけどイベントに行けなかった〜というかたはぜひ、お役立ていただければ幸いです。


Othelloに関しては本当に在庫がギリギリなのでお早めに……。B4サイズのブックレットの裏面にはかずまさんのイラストがババンと大きく刷られていて圧巻ですよ……!

その他の在庫に関しては、まあまあな数がございます。ゆっくり吟味してくださいませ。

また、配送方法や送料についてなど、ご不明な点がございましたら気軽にご質問ください。


それでは、とりいそぎのお知らせでした。ごきげんよう。

Traumerei Fabrik Official Shop↗

2018.08.10

C94 頒布物のごあんない

おまたせいたしました。C94の頒布物が出揃いましたので、おしらせいたします。(無事に新譜出せそうです……!)

  • COURTRITUAL #2 300円
  • COURTRITUAL #1 300円
  • Othello 1,000円
  • ティルナノーグと刻の歌 500円
  • Papyrus300円
  • トロイメライファブリック 300円
です、よろしくおねがいいたします。 当日はこちらのポスターを目印にお越しくださいませ。

それでは、スペースにてお会いできることを心待ちにしております……!

TRFB1008

INFORMATION

TRFB1008 “COURTRITUAL #02”
Released on 2018.08.10
Comic Market 94



STORY

ケの日をちょっとだけ楽しむために、ハレの日の思い出をそっとしまって。

COUATRITUAL #02 お盆(灯篭流し)

TRACKS

  1. リーインカーネイション (incl. Complete Darkness)
  2. 懐かしき東方の血 (incl. エクステンドアッシュ)
  3. Eternal Dream〜幽玄の槭樹
  4. 星条旗のピエロ

STAFF

Arrangement,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

お世話になっております、秋晴です。 courtritual シリーズ第2作目となりました。

今作は自分の中でこういう曲展開たまんない!っていう好みをいっぱいいっぱい詰め込みました。いわゆる「エモい」ってやつですね。 例えばわかりやすいところでいくとラスサビで半音キーが上がったり、今までと違うコード進行になったりとかです。

個人的に東方アレンジにRomantic Tp(通称ZUNペット)っぽい音色を使ってみる、というアイデアをいつかやろういつかやろうとして温めていたものだったので、こうして作品として出せて良かったです。

そんな個人的な趣味全開なアレンジ達となりましたが、僕のエモポイントのどれか1つでもお聴き頂いた皆様に刺さって、「わかる、これは熱い。」と思っていただけたならこれほど嬉しいことはありません。

courtritual #2、どうぞお楽しみ下さい。

冷凍イナバPです。

COURTRITUAL第二弾は「お盆」をテーマにグラフィックを制作しました。ほぼ原型なくなってますけど、一応スタートは灯篭流しがモチーフでした。最初は光ってたんだけどな……。いつの間にかのっぺりしちゃいました。

ていうか、第一弾のときに「宮中祭祀が一貫したテーマです〜」みたいな話をしていたのに、第二弾で早くも宮中祭祀関係なくなってしまった。計画性のなさ……(笑) まあ、先祖祭祀だし、ギリギリセーフということで。

#1でうまくいかなかったので盤面の印刷方法を変えてみました。印刷というかTATインキでスタンプしてます。CDになにか不具合があったらご連絡ください。

さてさて。

今回の制作中はわりかしジャミロクワイをヘビロテしてた気がします。あとはヒプマイと夏休み子ども科学電話相談……。ジャミロクワイ、作業に集中できる。

それでは、今回はこのあたりで。リリース2日前の自宅(修羅場)から、みなさまに届くよう祈りをこめて。

2018.07.13

Webサイトをリニューアルしました

みなさんこんにちは、冷凍イナバPです。いかがお過ごしでしょうか。

以前から進めておりましたWebサイトのリニューアルが終わり、本日公開いたしました。

各アルバムの詳細情報などが一覧できるようになったので、お役立ていただければ幸いです。


あいかわらずWebサイト手作り女子中学生なので、なにか変なところがあったらこっそり教えてください。

リニューアルを機に、Traumerei Fabrikについてご紹介できそうな記事をつらつらと書いていきたいなあ……と考えています。(というか1年前にリニューアルのデザインと一緒にそういう文章も書いたんですが、多忙でWebリニューアルを延期しまくった結果改稿が必要になりそうです)

気が向いたときに書くので、気長に……お待ちいただければ……


それでは、とりいそぎのお知らせでした。ごきげんよう。

TRFB1007

INFORMATION

TRFB1007 “COURTRITUAL #01”
Released on 2017.10.29
極・東方神居祭10



STORY

ケの日をちょっとだけ楽しむために、ハレの日の思い出をそっとしまって。

COUATRITUAL #01 神嘗祭

TRACKS

  1. デザイアドライブ
  2. エクステンドアッシュ〜蓬莱人
  3. 砕月
  4. 竹取飛翔〜Lunatic Princess

STAFF

Arrangement,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団),
あきやまうに

LINERNOTES

今作は私たちにとって初めてのシリーズもの「COURTRITUAL」の第1号となります。

Traumerei Fabrikはこれまでコンセプトアルバムをメインに企画し頒布してきましたが、C92で東方星蓮船コンセプトアレンジアルバム「Othello」を頒布した後、コンセプトアルバムとは別に、コンセプトに縛られず、今自分達がやりたいことを縛りなどを気にせず好きに作るアルバムもあっていいんじゃないかという話が冷凍イナバとの間で上がりました。

そこで、僕たちは今こんなアレンジをメインに作っているんですよ、こんな方向性も出来るんですよという自己紹介も兼ねたミニアルバムを作ろうということになり、今作が生まれることとなりました。

初めての人も、そうでない人も、Traumerei Fabrikのシリーズ「COURTRITUAL」お楽しみいただけると嬉しい限りです。

COURTRITUALという新シリーズ、記念すべき第一弾です。今回ははじめましてなので、さくっと説明をば。

これまでTraumerei Fabrikではコンセプトをしっかりと固めてアルバムを作ってきましたが、その中で「今回のコンセプトには合わないけどこういうのもやってみたいな」という思いが段々と募っておりました。じゃあいっそそのとき作りたいものを作るだけのシリーズでも展開しようか、ということで始まったのがCOURTRITUALです。ゆるゆるとやってまいります。

読み方はコートリチュアルで、「宮中祭祀」を直訳しただけの造語です。ぼくにとって東方projectってやっぱり宗教なので。定期性があって季節感もあって、なかなかにハマったネーミングな気がしています。

そんな感じで作った第一弾は神嘗祭モチーフです。封筒と相まってお米感がつよい。

今回は思いついてからリリースまでがとっても短かったのでやや漫然と手を動かした感が否めないのですが、デザインも「そのときやりたいグラフィック」をバチバチとやっていきたいなと思っております。

TRFB1006

INFORMATION

TRFB1006 “Othello”
Released on 2017.08.11
Comic Market 92 特設サイト↗



STORY

世の中には、正義と悪が確かに存在している。
正義と悪はしばしば物語になるし、事実にもなる。
ここ幻想郷にもいろいろな話が伝えられてきた。

だけど、正義と悪って誰が決めるんだろう。
――変なノートで悪人を殺すのは?
――権力者から盗みをはたらいて貧しい人に施す泥棒は?
――妖怪のために尽力した人間は?

正義と悪というのは、物事を見る立場や時代によって
ひっくり返るものなのだと思う。
それは、まるでオセロの駒みたいに。

かつて人間たちにとって白だった少女は、
弱い妖怪を守るようになる。
そうしているうちに、やがて黒とみなされて封印されてしまう。
守られた妖怪たちにとって、
守ってくれる少女を封印した
“人間”という存在は黒になった。

時が経って封印がとけたとき、
彼女はいったい何色の存在なんだろうか?

いつだって、彼女は白であり続けた。
人間たちにとっても、妖怪たちにとっても
――信仰を得て、人も妖怪も導く存在として。

この世界は光に満ちている。
盤面を埋め尽くす白い駒のように。

TRACKS

  1. 彼女が見た夢へ
  2. タイニィテレグノシス
  3. 雲海と夜空の間で
  4. ヨーソローシップ
  5. アンサング
  6. Othello
  7. ファイブピース

STAFF

Arrangement,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
かずま
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

本作のモチーフとして選択した東方星蓮船という作品では、出会っていく敵キャラたち(小傘を除く)が封印された聖を助けるために自ら動いています。他の作品は基本的にはボスであるキャラに使役される、または企みに協力する形で物語に参加していることと比べると明らかに異質といえるのではないでしょうか。

作品の物語に登場する人間たちはみんな強いのであまり実感はありませんが、星蓮船の物語では、人間にとって妖怪はやはり絶対悪、恐怖の対象あったことが示唆されています。そんな中、“元”であるとはいえ人間だった尼僧、聖白蓮が妖怪を救っているという事実は当時の人間たちの彼女への印象をひっくり返すには十分すぎるほどだったでしょう。 一方で妖怪達が元人間の尼僧を恩返しとばかりに奔走している姿に、この作品が単なる勧善懲悪モノではないことが表されています。今回のアルバムではそういった正義と悪、人間の心のもろさのようなものを「othello」という名前に託し、表現したつもりです。

オセロという有名なボードゲームは、その名の通りシェイクスピアの戯曲「オセロ」を起源としています。黒人の将軍オセロとその白人の妻をとりまく人間たちの様相が目まぐるしく変わっていく様から誕生したといわれています。 戯曲「オセロ」が誕生して400年余りが経ちましたが、人間はあいも変わらず、ちょっとしたことでコロコロ変わってしまいます。

僕が東方projectという作品に出会って早いもので10年経ちました。当時はいわゆるオタク文化にここまで浸かるとは思ってませんでしたし、戯れに始めた音楽という趣味もここまで続くとは夢にも思ってませんでした。人間ちょっとしたきっかけでこうも変わるものかとしみじみしながらアレンジさせていただきました。 6枚目のアルバム「othello」お楽しみいただければ幸いです。

Garamondという書体があります。クロード・ギャラモンの名を冠した活字は、彼の死後に売却され、各地へと流れてゆきます。その後はゆるやかに変化を遂げつつ、ひっそりとその命脈を保ってきたのです。

ローマン体自体はトランジショナル(まさに過渡期!)なものを経て、セリフがヘアラインになるモダンローマンへと変遷します。ところが、アーツ・アンド・クラフツを主導したウィリアム・モリスはコントラストの強いモダンローマンを好まず、中世からのローマン体を推奨したという話があります。そうして20世紀に改めてGaramondが注目され、こぞって復刻されました。一説では、Garamondには1000以上のバリエーションがあるとまで言われています。

――活字の時代に華やかに活躍したGaramondが人々に忘れ去られ、何世紀かの時間を経て再び脚光を浴びる。これって、ぼくがむかし幻想郷のどこかで聞いたおはなしにちょっとだけ似ている気がする。 書体に正義も悪もないですが、Garamondは光と影の両方を経験してきました。古典的なフォルムの中に感じられるルネサンスの優雅さ。どこかの大魔法使いもきっと、この書体なら気に入ってくれるんじゃないだろうかと思います。

アートワークはかずま氏にお願いいたしました。ぼくの描く曖昧模糊としたストーリーを見事にイラストにしていただいて感無量であります。ありがとうございます。

それでは、またお会いできる日まで。

TRFB1005

INFORMATION

TRFB1005 “ティルナノーグと刻の歌”
Released on 2015.08.14
Comic Market 88 ダウンロードURL↗

STORY

この夏、早苗さんと旅にでかけませんか?

木々のささやき、さざ波の奏でる音色。

かすかに聞こえることりのさえずり。

日常を少しだけ離れて、時間を忘れて、
上質な自然のセッションを味わおう。

まるで竜宮城へ迷い込んだかのように。

幻想郷から、現代へ。

早苗さんの故郷をめぐりながら、
夏の旅を満喫しよう。

Traumerei Fabrik 5作目のコンピレーションは、
そんなひと夏の旅行をイメージした作品です。

TRACKS

  1. 海底都市の視る夢
  2. 変わってゆくものと、
  3. ラピスラズリの泪
  4. 水面上のアステリズム
  5. 変わらないもの。
  6. シーラカンス
  7. ティルナノーグと刻の歌
  8. それでも針は回っていく。

STAFF

Arrangement
(exc. M2,M5&M8)
M2,M5&M8 Compose,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
ゆうがた(マシュマロ小児科)
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

本作は音楽CDではありません。楽曲データをダウンロードする形式の作品です。 個人の引用の範囲を超える転載や、再頒布、改変などはご遠慮ください。

LINERNOTES

前作『Papyrus』から3年経ち、ようやく今作『ティルナノーグと刻の歌』を完成させ頒布することができて、ほっと胸をなで下ろしています。

今回のアルバムの構想や企画自体は実は3年前からしていて、楽曲の製作も進んでいました。その歳月の中で、音楽の好みという単純なことをはじめとし、価値観等に至るまで色んなものが変化していって、なかなか自分の中でこれだと思えるものを作ることができなかったために、完成しきれず時間だけが過ぎていったのかなと思います。

ティルナノーグというのは日本でいう竜宮城のようなもの、今作では幻想郷を指しています。「しばらくの間早苗さんは幻想入りしていたが、その間外はどうなっていたのか? そしてそれを見た早苗さんはどう感じたのか?」という設定はありますが、その答えは基本的に受け手のみなさんにどう受け取って頂いても構わないようにしています。委ねているといったほうが正しいかもしれません。ただ、「時が変えていってしまうものも多いけど、変わらないものもあるんだよ」ということがテーマとしてこのアルバムの根底には存在しています。

今回と前作で大きく音楽性は変わりましたが、それでも、その中で変わらないものも確かにあって。サークルとして活動して4年経ちましたが、ようやく自分達のやりたいこと、出来ることが見えてきたような、そんな作品になっています。お楽しみ頂ければ幸いです。

今作はリーダーの「“◯◯ e.p.”みたいなの作りたい」という一言からはじまった……とメモに残されています(3年前の話なのでそういうやりとり自体記憶が薄いのです)。今作は制作前の話し合いにおいて、「とにかくオシャレなもの作りたいよね」「なんかサブカルっぽいことしたい」という方向で盛り上がってしまって、「じゃあいっそ、ただ単純にやりたいことやるか」という感じでスタートしました。できあがってみると全然サブカルでもオシャレでもない……。

「2015年夏、東風谷早苗の里帰り」という爽やかなキャッチコピーを掲げ、早苗さんが現代入りして……という設定もあるにはあるのですが、今作に限ってはあくまでオマケで、なおかつ受け手のみなさんに任せている部分でもあります。いろいろ妄想を膨らませていただけるとストーリーテラー冥利に尽きますね。

そんなわけで好き勝手やりましたので、デザイナーとして今作について語ることは、実はそれほど多くありません。デザインは一切なされていないので……。あえて言うならば、「やりたいことをやりたいようにやった」ということが、デザインとしての“サブカルチャーの体現”なのかもしれません。

TRFB1004

INFORMATION

TRFB1004 “Papyrus”
Released on 2012.08.10
Comic Market 82

STORY

Traumerei Fabrik 第4作目となる今作は、”Papyrus”と題し、過去に発表した曲のリアレンジを収録しています。

テーマは「古いものを新しく作りかえる」こと。メンバーが3人になってから早1年。各々が改めて自分の過去の作品について見つめなおし、その拙さ、未熟さを認識しました。その上で、いま改めて作るならば……という挑戦です。

作り直してなお、拙い作品であるかもしれません。いいえ、いずれまたこのPapyrusも、「まだまだだな」と思う日が来るのでしょう。それでも、これが今の私たちの全力です。

過去を現在に。そして、よりよい未来へつなげる――

そんな思いを込めた、4th Compilation “Papyrus”

ぜひ、お手にとって確かめて下さい。

    収録曲の元となった曲 /

  1. 夢うつつの幻想郷
  2. Shadow Servant
  3. Deadly Nightshade
  4. Diamond Dust
  5. Absolute command
  6. Foxtrot
  7. Innocent Violence

TRACKS

  1. シムラクラム
  2. ShadowServant
  3. Deadly nightshade
  4. 六花の丘
  5. Grand Guignol
  6. Foxtrot
  7. Flamberge

STAFF

Arrangement (exc.M4),
Mixing,
Mastering
秋晴
M4 Arrangement
春雨
Design,
Development,
Storytelling,
Illustration
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

今回は自分の過去の作品のリアレンジ、またはリミックスを作るということで、今まで作ってきた自分の曲と向き合う必要があり、実質、黒歴史を掘り起こす行為で、それが一番つらい作業でした(笑)そうしてどうにか新しくなった曲ですが、元々HR/HM寄りなアレンジだった曲をさらに激しく重厚なサウンドに仕上げられたと思います。ここ数年で僕の好みの音楽や考えなどが大きく変わっていったこともあり、何曲か元のアレンジとかけ離れてしまったものもありますが、それもひとつのスパイスとして楽しんでいただければなによりです。

秋晴から最初に”Papyrus”というタイトルを聞いてから、自分なりに「古いものを新しく作りかえる」ということについて考え、そして至ったのが今回のパッケージ、ジャケットです。くしゃくしゃの古臭い”過去の”封筒を、思いっきり破って下さい。そして”現在の”ジャケットを取り出して、そっと開けると……。ぶわっと、大きく広がっていく”未来”。そんな思いでデザインしました。みなさんが、このアルバムを通して、私たちの成長を感じて下さることを祈っております。

TRFB1003

INFORMATION

TRFB1003 “トロイメライファブリック”
Released on 2011.08.12
Comic Market 80

STORY

にとりはある日夢をみた。夢の中で、最高の工場に出会う。

充実した設備の中で、にとりはたくさんの物を発明した。テレビにパソコンに冷蔵庫……。

そうして、彼女は幻想郷中で話題になった。

幸せだった。好きなことを好きなだけできる。
それをたくさんの人に評価してもらえる――

しかし、その幸せは唐突に終わる。
夢から覚めたにとりは、一筋の涙を流した。

しばらくして、彼女は悲しい気分を落ちつかせるために散歩へ向かう。

そこで彼女へ目にする。寂れた廃工場を。

その廃墟は、彼女にとって最高の工場だった。

にとりは涙を浮かべた目のまま、顔をくしゃくしゃにして、笑った。

TRACKS

  1. 夢うつつの幻想郷
  2. いつもとちょっぴり違う世界
  3. うたかた
  4. 夢の工場
  5. 天に届くは神々の子守唄(TFver)

STAFF

M1,3,5 Arrangement
秋晴
M2 Arrangement
春雨
M4 Arrangement
秋晴,春雨
Mixing,
Mastering
みっつん(Applice
Design,
Development,
Storytelling,
Illustration
冷凍イナバP
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

2018.06.09

C94 / 当選しました1日目東ス-35bです

こんにちは、本日C94の当落発表があり、Traumerei Fabrikは1日目の東ス-35bにスペースをいただきました。

Webカタログはこちら。 Traumerei Fabrik | Comike Web Catalog

今年はイナバPが体調を崩してしまって新譜が出せるか怪しいのですが、まだ時間はあるのでなんとか、、、がんばります……! 詳細はまた後日、お知らせいたします。

また、各メンバーのツイッターでも進捗報告やらなんやらをつぶやいていくと思いますので、よろしければフォローしてくださいませ。







2017.10.19

極・東方神居祭10 頒布物のごあんない

こんにちは、来る10月29日、北海道札幌のホテルさっぽろ芸文館で開催される極・東方神居祭10にサークル参加いたします。

北海道の東方Projectオンリー大型同人誌即売会【東方神居祭】

新しいシリーズ「COURTRITUAL」をひっさげて参りますのでよろしくおねがいいたします。

コミケの新譜、Othelloも在庫僅少ではありますが持っていくので、コミケに来られなかったみなさまはぜひこの機会にお求めください。