TRFB1006

INFORMATION

TRFB1006 “Othello”
Released on 2017.08.11
Comic Market 92 特設サイト↗



STORY

世の中には、正義と悪が確かに存在している。
正義と悪はしばしば物語になるし、事実にもなる。
ここ幻想郷にもいろいろな話が伝えられてきた。

だけど、正義と悪って誰が決めるんだろう。
――変なノートで悪人を殺すのは?
――権力者から盗みをはたらいて貧しい人に施す泥棒は?
――妖怪のために尽力した人間は?

正義と悪というのは、物事を見る立場や時代によって
ひっくり返るものなのだと思う。
それは、まるでオセロの駒みたいに。

かつて人間たちにとって白だった少女は、
弱い妖怪を守るようになる。
そうしているうちに、やがて黒とみなされて封印されてしまう。
守られた妖怪たちにとって、
守ってくれる少女を封印した
“人間”という存在は黒になった。

時が経って封印がとけたとき、
彼女はいったい何色の存在なんだろうか?

いつだって、彼女は白であり続けた。
人間たちにとっても、妖怪たちにとっても
――信仰を得て、人も妖怪も導く存在として。

この世界は光に満ちている。
盤面を埋め尽くす白い駒のように。

TRACKS

  1. 彼女が見た夢へ
  2. タイニィテレグノシス
  3. 雲海と夜空の間で
  4. ヨーソローシップ
  5. アンサング
  6. Othello
  7. ファイブピース

STAFF

Composing,
Mixing,
Mastering
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
かずま
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

本作のモチーフとして選択した東方星蓮船という作品では、出会っていく敵キャラたち(小傘を除く)が封印された聖を助けるために自ら動いています。他の作品は基本的にはボスであるキャラに使役される、または企みに協力する形で物語に参加していることと比べると明らかに異質といえるのではないでしょうか。

作品の物語に登場する人間たちはみんな強いのであまり実感はありませんが、星蓮船の物語では、人間にとって妖怪はやはり絶対悪、恐怖の対象あったことが示唆されています。そんな中、“元”であるとはいえ人間だった尼僧、聖白蓮が妖怪を救っているという事実は当時の人間たちの彼女への印象をひっくり返すには十分すぎるほどだったでしょう。 一方で妖怪達が元人間の尼僧を恩返しとばかりに奔走している姿に、この作品が単なる勧善懲悪モノではないことが表されています。今回のアルバムではそういった正義と悪、人間の心のもろさのようなものを「othello」という名前に託し、表現したつもりです。

オセロという有名なボードゲームは、その名の通りシェイクスピアの戯曲「オセロ」を起源としています。黒人の将軍オセロとその白人の妻をとりまく人間たちの様相が目まぐるしく変わっていく様から誕生したといわれています。 戯曲「オセロ」が誕生して400年余りが経ちましたが、人間はあいも変わらず、ちょっとしたことでコロコロ変わってしまいます。

僕が東方projectという作品に出会って早いもので10年経ちました。当時はいわゆるオタク文化にここまで浸かるとは思ってませんでしたし、戯れに始めた音楽という趣味もここまで続くとは夢にも思ってませんでした。人間ちょっとしたきっかけでこうも変わるものかとしみじみしながらアレンジさせていただきました。 6枚目のアルバム「othello」お楽しみいただければ幸いです。

Garamondという書体があります。クロード・ギャラモンの名を冠した活字は、彼の死後に売却され、各地へと流れてゆきます。その後はゆるやかに変化を遂げつつ、ひっそりとその命脈を保ってきたのです。

ローマン体自体はトランジショナル(まさに過渡期!)なものを経て、セリフがヘアラインになるモダンローマンへと変遷します。ところが、アーツ・アンド・クラフツを主導したウィリアム・モリスはコントラストの強いモダンローマンを好まず、中世からのローマン体を推奨したという話があります。そうして20世紀に改めてGaramondが注目され、こぞって復刻されました。一説では、Garamondには1000以上のバリエーションがあるとまで言われています。

――活字の時代に華やかに活躍したGaramondが人々に忘れ去られ、何世紀かの時間を経て再び脚光を浴びる。これって、ぼくがむかし幻想郷のどこかで聞いたおはなしにちょっとだけ似ている気がする。 書体に正義も悪もないですが、Garamondは光と影の両方を経験してきました。古典的なフォルムの中に感じられるルネサンスの優雅さ。どこかの大魔法使いもきっと、この書体なら気に入ってくれるんじゃないだろうかと思います。

アートワークはかずま氏にお願いいたしました。ぼくの描く曖昧模糊としたストーリーを見事にイラストにしていただいて感無量であります。ありがとうございます。

それでは、またお会いできる日まで。