2019.01.14

『幻想メトロ』通販開始&完売ごめんなさいセールのお知らせ

みなさんこんばんは、冷凍イナバPです。いかがお過ごしでしょうか。

大変ながらくおまたせいたしました、C95新譜『幻想メトロ』の、公式通販での頒布を本日より開始いたします!

Traumerei Fabrik Official Shop↗




そして、せっかくビッグサイトまで足を運んでいただいたのにお手にとっていただけなかったお詫びとして、心ばかりですがセールを開催いたします。


セールその1「旧譜をどどんとお値下げ」

搬入の都合で持っていけなかったトロイメライファブリックPapyrusの2作品を、80%オフの100円で頒布いたします!

こちらの2作品、初頒布から長い時間が経過していることもあり、一部商品のケースに傷みがある場合がありますが、なかみはどちらもプレスCDになっています。

ぽっと出のサークルがコミケ初参加でプレスCDを作っていたことに若干の戦慄を覚えますね。まさに出血大サービスです


また、ティルナノーグと刻の歌に関しても、少しだけお値下げいたしました。こちらは40%オフの300円にてお求めいただけます。

予定は未定ではありますが、ティルナノーグと刻の歌、いまのうちに聞いておくと、楽しい展開が待っているかもしれません……! 未視聴のみなさまはぜひぜひ、この機会にチェックしてみてください!



セールその2「1週間限定!送料300円引き!」

こちら、スペースまでお越しいただいたかたに2度手間を強いてしまったお詫びとして、1000円以上お買い上げのかたの送料の一部をTraumerei Fabrikがご負担いたします!

もちろん、最初から通販でご購入予定だったかたもご利用いただけますので、この機会にぜひ、いろいろ作品を聴いてみてください。


ご利用方法は、ご注文画面のクーポンの欄に TRFBSHIP300 とご入力いただくだけです。

こちら、2019年1月21日の23:59まで利用可能となっておりますので、なにとぞよろしくおねがいいたします!



駆け足での告知となってしまいましたが、ぜひぜひ、みなさまご利用くださいませ! 冷凍イナバPでした。

Traumerei Fabrik Official Shop↗

TRFB1009

INFORMATION

TRFB1009 “幻想メトロ”
Released on 2018.12.30
Comic Market 95 特設サイト↗



STORY

博麗神社の近所に湧いた間欠泉にまつわる騒動が一段落してからはや10年。当時を振り返って思い出話に花を咲かせようじゃないかと、早苗、神奈子(と、オマケで諏訪子)が持ってきたのは一束の資料。それは地下の鉄道計画だった。これがどうしてなかなかよくできている。

10年前の絵空事を本気にしてみるのも悪くない。どうせ、地底の土地は有り余っているのだし。
「迷惑がかからないなら、勝手にすれば?」と、霊夢は興味がないみたいだけれど……

そんなこんなでできてしまった地下鉄には、今日もいろいろな存在が乗り込む。多くは自分の足で遠出をするのが難しい、里の人間たち。遠くに行く演出としてわざわざ乗ってくる妖怪や幽霊、鬼や神なんかもときどき。霊夢もちゃっかり、券売機の隣におみくじを置いている。

今日は誰がどこへ向かうのだろう。メトロは走る。幻想郷の有象無象とワクワクを乗せて――

東方projectの物語では起こり得なかったけれど、たまにはこんな妄想も悪くない。東方地霊殿から10年目を記念して、Traumerei Fabrikが送るフィクションのおはなしです。

TRACKS

  1. 幻想メトロ、全線開通
  2. 旅のしおりを忘れずに
  3. いつもの待ち合わせ場所
  4. 雑踏の中へ
  5. 本日快晴地底日和
  6. 地底の車窓から
  7. ダイアグラムラプソディ
  8. 最終便
  9. 幻想メトロ

STAFF

Arrangement
秋晴
Design,
Development,
Storytelling
冷凍イナバP
Illustration
たま。ひよこ缶
Mixing,
Mastering
憂鬱
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

Traumerei Fabrik 9作目『幻想メトロ』、まずはお手に取っていただきありがとうございます。

今作のアレンジのコンセプトは「明るくて、ポップで、キャッチーなアルバム」でした。作品のコンセプトや構想などは例によって6年くらい前から出ていた今作ですが、いざ作ってみるとまぁ難しくて。

というのも僕が田舎者なために地下鉄に乗る機会が全然なかったというのが大きいのです。そこで今作の制作に入る段階でまず札幌に行き、地下鉄に乗って色んな場所に行きました。無心で一時間くらい適当に乗って移動してたんですが、地下鉄って暗いし景色も特になければBGMみたいなものもなくて。だからこそ降りて地上に出てみると「別世界に来た!」という印象が強烈に残って、僕が今回目指す地下鉄のイメージってこれかなーと。そこからはとにかく色んな音楽に触れて、作ってみての繰り返し。一曲終わったら別世界が広がってる! そんなアルバムを目指して制作してました。

そういった事情もあり、今作は今までのアルバムの中でも随一のアレンジの幅広さを持つ作品になったのではないかと思います。とはいいつつも好みは変わってないので、ベースはうねうね動き、ドラムソロもあればジャズ的なアプローチもふんだんに入っていますがまぁまぁまぁ。

あと今作において外せない話題としては、ミックス/マスタリングを憂鬱氏に依頼したことです。「うっすら強め」「ちょっと強め」「ほんのり強め」「気持ち強め」という僕のあまりにも抽象的な注文に対してバチッと正解を提示していただき、逆に憂鬱さんからも「こうしたらどうか」「ここはどうしたらよいか」とお互いの意識を擦り寄せながらの作業でした。僕自身こういったミックス以降の作業を他人にやってもらうことがなかったので多くのご迷惑をおかけしながらの制作となりましたが、最後には一発目のラフミックスの段階でバッチリ僕好みの音にメイクされていて、心の中を見られているのではないかと思うほどでした。間違いなく今作は憂鬱さんの力なしには完成し得なかったと言っても過言ではありません。この場を借りて御礼申し上げます。

そんなわけで今作は今までのTraumerei Fabrikのアレンジアルバムとはアレンジもサウンドもちょっと違う、でもどこか「らしさ」もある、不思議で楽しいアルバムになったのではないかと思います。

これまでTraumerei Fabrikを知ってくださっていた方も、これから知るという方も。

旅のお供に『幻想メトロ』、どうぞお楽しみください。

ようやく……メトロの名を冠したアルバムを出せました……長かった……。

というのも、最初に「メトロ」というコンセプトが挙がったのが2012年の11月。6年余りの時間を経てようやくみなさんにお届けすることができました。とはいえ実際に手を動かしていたのは2018年の夏コミ付近からなのですが。

2012年のメモを見ると、無邪気にも「サインデザインやりたい! 路線図作りたい! ノベルティ化したい!」と書かれています。そこから妄想はどんどん広がり、CIをやろうとか、制定書体を作ろうとか、実際にダイヤグラムを引いてみようとか、各駅ごとの駅メロを作るんだとか、それはもう大風呂敷を広げに広げて、広げっぱなしで気づけばずいぶん時間が経ってしまって。

そうして火照った頭は活動休止期間や別のアルバムの制作を経験して徐々に冷やされて、最終的なガワとしては開業にフィーチャーしたクリエイティブに落ち着きました。いい落とし所だという納得半分、本当にこれでいいのかという疑問半分。

ともあれ、地霊殿から10年の節目ということもあり、ここらでいったんケリをつけて、やり残したこと、もっとやれたと思うことは次回作以降に昇華すると割り切って、この数ヶ月舵をとってきました。

幻想メトロの開業にフォーカスしてからもなかなかに難産で、どういう形でデザインに落とし込むのかに数週間悩んだり、コピーを決めるのに数ヶ月かかったり、 本当にうろうろさまよいながらなんとか形にして、いまもさまよいながらこの文章を書いています。その過程で、イラストをお願いしたたま。さんにはとても助けてもらいました。毎回、イラストをお願いするというよりもはやメンバーの一員のように一緒に作り上げていく感覚のほうが強いのですが、メトロは特に、イラストでぼくたちの世界を補強してもらったなと思います。ありがとうございます。

身内を褒め合うのもなんだかなあと思っていつもは曲の話はしないんですが、今回はひとことだけ。通しで聞いたとき、楽しくて、わくわくして、だけどたまに物寂しさもあって、地下鉄の、公共交通の持ついろんな表情が感じられて。いいアルバムじゃないですか?

キャッチーでポップなアルバムのライナーノーツなのになんだかズシッとした重量感のある文章になってしまいました。視聴前にこれを読んでしまったかたは、なにとぞいったん忘れてお聞きいただければ……。

それでは、またお会いできる日まで。

2019.01.11

Traumerei Fabrikがやっていきたいこと
– これからのこと。 –



みなさんごきげんよう、Traumerei Fabrikの冷凍イナバPです。

前編中編と、過去と現在の話をしてきたので、最終回はこれからのTraumerei Fabrikについておはなししたいと思います。

コンセプト作品の功罪

ここまで、「私たちはコンセプトにこだわって作っています」という話をしていました。いきなり矛盾してしまって申し訳ないのですが、2017年から2018年にかけて、COURTRITUALという、コンセプトがほとんど存在しないシリーズを2作リリースしています。


COURTRITUAL #01 / COURTRITUAL #02

コンセプトを立てることの意味に関しては、前編でご説明いたしました。けれどふと冷静になって考えると、私たちは同人即売会に来てくださる方々をないがしろにしているのではないかということに思い至ったのです。

同人即売会、特にコミケに関してはよく戦場に例えられます。来場される方にとって一瞬一瞬が勝負の時間であり、それは私たちサークル側もそうです。いかにして、会場で初めて私たちのことを知ってくださった方に、私たちの作品を手にとっていただくか。あるいは視聴していただくか。

もちろん、見て頂いた上で、自分の趣味嗜好には合わないと感じる方もいらっしゃるでしょう。そういった方には、感謝こそすれど、決して不快に思ったりしません。即売会という戦場で、短くない時間を使って私たちの作品を見て、聞いてくださる方がいらっしゃることは本当に嬉しいことです。

はたして、私たちはそういった方たちに対して親切だったか? と自問自答すると、ある意味で不親切だったと反省する次第であります。それは、無愛想に対応したとか、不誠実な応答だったとか、そういうことではなく。短い時間で十全に伝わる努力を怠っていたという意味で。

コンセプトを立ててガチガチに作風を固めることは諸刃の剣なのだと気づきました。私たちのことを知ってくださっていて、あらかじめ作品の特設サイトなどを見て来ていただいたかたには良い体験をお届けできている自信がありますが、一方で、いわゆる「ジャケ買い」をして、WebサイトやTwitterを見ることなく、CDだけを手に取った方には説明不足だったような気がします。

だからといって「じゃあCDだけで完結する作品にしよう」というのは、私たちにとっては敗北である気もするのです。そこで、着地点として「ライトな作品」を作ってみようという結論を出したのです。明快なテーマで、CDだけでも楽しめて、WebサイトやTwitterを見て下さった方にはもっと楽しんでいただける……。そんな作品があってもいいなという気持ちで、まずは2作頒布いたしました。

COURTRITUALシリーズは、東方Projectという作品の持つ宗教性やアニミズムにフィーチャーして、「宮中祭祀」をモチーフにグラフィックを制作する……。というタテマエのもと、曲もデザインも、その時やりたいようにやろう、というシリーズです。このシリーズは、「こういうの思いついたんだけど今回のコンセプトには全然合わない!」というフラストレーションを発散する役割も担っています。

「間口をゆるやかにとってTraumerei Fabrikというサークルを知っていただく」という目的上、お求めやすい頒価に設定し、実際に東方神居祭やコミケにて頒布いたしました。その結果、とりあえずCOURTRITUALだけ聞いてみますと言ってくださる方や、COURTRITUALを聴いてTraumerei Fabrikを好きになりましたというありがたいお言葉も頂戴して、ひとまずは成功したかなという安堵の気持ちでおります。

コンセプトがあることと、キャッチーさの両立

また、C95で頒布した『幻想メトロ』も、モチベーションの一つに「コミケ映え/会場でもわかりやすいキャッチーさ」がありました。この作品はコンセプトのある作品群にカテゴライズされるものではありますが、努めてわかりやすく、ポップに仕上げた作品です。

この作品に関しては、単純に「わかりやすかったから良かった」だけの結果ではないと思いますが、想定以上に好意的に受け止めていただき、ありがたいことに会場頒布分を完売することができました。(お求めいただけなかったみなさま、申し訳ありませんでした)

1月14日を目処に公式通販での頒布を開始いたしますので、もう少しだけお待ちいただければ幸いです。

これから、私たちが挑戦したいこと。

これら三作品を通して、Traumerei Fabrikとしてこれからやっていきたいことが少しずつ解像されてきたように感じています。

まず、コンセプトの深度は「浅いものと深いものの二軸でやっていく」ことです。うまく回ったという手応えがあるので、今度はこの指針からぶれないように、どちらの軸に重きを置いた作品なのかを意識したディレクションを心がけようと思っています。

そして、もっともっとたくさんの人に聴いていただくためのアプローチをより多様化して一つ一つのクオリティを上げていく必要性も強く感じました。『幻想メトロ』のプロモーションを通して、デザイナーの立場として「いくら曲が良くても聴いてもらえないと始まらない」という危機感を覚えたのです。そのために、純粋にクリエイティブの質を上げることも必要だし、これまでやってこなかった、動画制作や演出的なWebの実装といった領域まで、まさに指先まで神経を尖らせていかねばならぬと心を新たにしています。

その先にある一つの目標として、クリエイティブユニットとして他サークル様の作品づくりのお手伝いがしたい、という思いがあります。

東方アレンジ作品に対する楽曲提供やデザインのご依頼はもとより、東方アレンジ作品以外でも、例えばゲームや動画用のBGM、書籍に深みをもたせるためのダウンロード形式の楽曲、二次創作作品のコンセプトからの参画など、私たちにできることをご依頼していただけるようになっていければ、と思っています。


さて、というわけで少し先の未来への抱負を述べました。これから、今まで以上に、Traumerei Fabrikというユニットとしてよりさまざまなことに挑戦していこうと思っています。もしかしたらその過程で、これまでの私たちと全然違うじゃんとご期待を裏切ってしまうことになるかもしれません。そうならないよう精一杯の努力をしていきますので、温かい目で見守っていただければ幸いです。これからも、Traumerei Fabrikをどうぞよろしくお願いいたします。