TRFB1014

INFORMATION

TRFB1014 “cle+ec+1ve”
Released on 2022.10.23
第九回博麗神社秋季例大祭


















●本作は音楽CDではありません。楽曲データをダウンロードする形式の作品です。




thank you!

STORY

紅霧異変以降──、フランは495年の“引きこもり”を卒業し、時折紅魔館を散策するようになった。

そのおかげで以前よりも「フランドール・スカーレットという存在への畏怖」は薄れていた。館の外にも漏れ聞こえるほどには、フランの狂気は過小評価されてゆく。

妹様が出歩くようになったことは、それ自体は好ましいことである一方、“勘違いしたお客様”が増える原因にもなっていて……。とくにここ最近は、館の門番が愚痴る程度に望まざる客人の来訪が増えている。

周りのことに無関心なパチュリーではあるが、自分が集中しているときに外が騒々しいのは思いの外ストレスだった。

そんなある日、紅魔館の庭園で激しい爆発が起こる。それはまるで、「すべてを破壊する程度」の衝動が抑えられていないかのようで────



TRACKS

  1. ignition
  2. benefaction
  3. distortion
  4. whatever
  5. detective
  6. perspective
  7. the game is afoot!

STAFF

Arrangement,
Mixing, Mastering,
Story
秋晴
Design,
Development,
Screenplay
冷凍イナバP
Illustration
m
Original
ZUN(上海アリス幻樂団

LINERNOTES

「探偵モノやりたい!パチュリーで安楽椅子探偵モノとかどう?」いつも通り僕の急な一言で3年ぶりの新譜制作はスタートしました。
毎回こんな発言に振り回されながらもしっかり作品としてまとめ上げる相方に敬意を表します。 

さて、楽曲面のお話です。楽曲面では意図的に明るくキャッチーな路線と、なるべくコンパクトにすることを意識しました。

3年前、休止前に発表した「ティルナノーグと永遠の歌」は、自分たちが向かいたい方向性と受け手側が自分たちに期待している方向性がある程度合致していると判断し、キャッチーさよりも音楽に意味を持たせる方向性に振って制作していました。
復帰後初となる今回はそういった受け手側の自分たちに持つイメージがいい意味でリセットされたと思っているので、一旦音楽的に聴きやすい、ストーリーとか知らなくても楽しめる楽曲を目指して制作したつもりです。

そしてご存知の通り音楽の楽しみ方も変わってきていて、実際僕も同人以外でCDを買うことはほぼ無く、サブスクなどで気になる曲を大量に消費することが殆どになっています。

さらには気になる曲の気になるところだけ聴いて次の曲に移る、なんてこともしばしばだったり。一応作り手としてその姿勢はどうなん?というのはご指摘はコメントはあろうかと思いますが、世間的にはそんな流れになってきているのかなと実感はあります。

とはいえ、しっかり最初から最後まで聴いてほしい〜!なんか4分くらい超えとかないと手抜きみたいじゃない?という勝手な作り手側の気持ちはもちろんありつつ、復帰後初作品という前評判もない気楽な状態での作品だったので今回は試験的に要点をキュッと絞ったコンパクトな楽曲を意識してみた次第です。

だらだら書きましたが、要するに肩肘張らず手軽に聴けるキャッチーなアルバムを目指しました!ということでして。もちろんそれぞれの楽曲にもしっかり設定やら仕込みやらは入れたりしてるので、考察好きな方は色々聴いて楽しんで貰えたら嬉しいです。

長くなりましたが、兎にも角にもまたこうしてイベントで作品を出せるようになって今は久々にワクワク気分です。久々にTraumerei Fabrikの名前が見れて嬉しいという声も頂いたりして嬉しかったです。

ではでは、3年ぶりの新譜、お楽しみ下さい。

推理小説、好きなんですよね。といってもそんなに詳しくないんですけれど。

パチュリーの安楽椅子探偵と聞いた時に「お、いいじゃん」と思ったのも束の間、推理小説の組み立ての難しさに直面してわりと苦しみました。とくに秋晴とぼくが意識したのは誰も悪者にしないこと。ストーリーを考案する段階ではすでに、曲は明るく行きたいよね、という方針はそこそこ見えていたので、誰かを犯人に仕立てるのもな……、そもそも紅魔館の連中にシリアスなドラマが演じられるのかな……、ということでたどり着いたのが、叙述トリックでした。ええ、叙述トリックです(盛大なネタバレ)。

原作ではフランがアガサ・クリスティの著書『そして誰もいなくなった』に言及していることにあやかって、本作は『アクロイド殺し』をほんの少しだけリスペクトしています。また7曲目のタイトルは秋晴くんの提案でホームズからの引用にしてみたり……と、ネタバレはこのくらいにしておきますが、最後のスパイス程度に色々なことを隠してみました。そういった点でもお楽しみいただける作品になったのかなと思います。

さて。「3年ぶりの新作」の制作にあたって、ぼくらは大いに悩みました。前作がそれなりに手応えがあったのもあり、今回も意味ありげなものじゃないと復活にふさわしくないのでは、なんていっぱしのクリエイターを気取ったりして。でも悩んでいるうちに、景気よく、聞いていて楽しい、考えてみて楽しい、そういう作品のほうがいいんじゃないかと思いはじめて、本作はできあがりました。頭からっぽにして聞いてみてください。気持ちいいと思います。たぶん。ランダム再生もいいぞ。

ご視聴中にはぜひ、「どんな場面なんだろう?」と妄想してみてください。キャラクターたちがみなさんの頭の中でセリフを言い始めたらぼくたちの思惑通りです。

イラストはmさんにお願いしました。今作、デザイントーンがわりと女性的な方向に振り切っているなかで、いい意味でエレガンスになりすぎないというか、ポップで楽しい雰囲気も感じられる、だけどトーンから大きく外れはしない、という絶妙な塩梅のものに仕上げていただきました。mさんのイラストがなければこのニュアンスは伝えられなかっただろうなと思います。感謝です。ちびキャラたちも紅魔館の中でドタバタと個性を発揮してる感じがありありと出ていて最高ですよね……。

てな具合で、みなさん、お久しぶりです。これからもTraumerei Fabrikをどうぞよろしくお願いいたします!